奈良の建築家 浅野勝義の家づくりBLOG

こだわりの仕事

 
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二階リビングの家
現場は今日も雨。
この現場監理は雨の日が多いのではないかと感じます。
現場での作業は階段周りの仕事に掛かっていました。
下の写真はヒノキの階段板の加工です。
ところでこの大工さんの仕事ですが、何の加工をしていると
思いますか?


階段の踊り場や中間のステップなども無垢のヒノキを使って
製作することがあります。
この現場も階段の周り部分では、幅25cm程度の板を何枚か
剥ぎ合わせ(無垢の板を張り合わせて広い板にする加工)て
使う事にしています。
写真は4枚を合わせて板の目を読んでいます。

実はこの剥ぎ加工、剥ぎ方が悪いと隙間が出来たり反って
きたりすることがあります。
もちろん加工だけの理由ではありません。
板の持つ癖や、乾燥度合い、そして加工の技術が関わって
います。
その板の乾燥度合いも大きなポイント。
通常乾燥材として15~20%の含水率の材を使う事が必要です。
木の乾燥は、30%程度までは木の中にある導管や細胞周りの
水分が抜けてゆきます。
そののち30%程度から乾燥度が増すと細胞の中に入っている
水分が抜けてきます。
この段階で木が本来持つ癖や収縮で反りが起こり始めます。
板が反っているのは大抵はこの乾燥によって曲がったものです。
隙間も同様です。
20%(出来れば10%以下)を切るようになると反りなどの動きが
納まってきます。ですから出来るだけ乾燥したものを使う。
それが鉄則。
通常板の剥ぎはお互いの板の小口に溝を掘り、その中にだぽの
働きをする板を挟み込みます。 
接着面を広くとるという意味もあります。
一般に剥ぎの加工はその様に行う訳ですが、この写真は更に
隣の枚をボルトで引っ張る為の細工なんですね。 

隣から一枚ずつ引っ張っておけば最悪の場合でも反りや隙が
最小になるというための努力。
もちろん私の図面にはこのような剥ぎ方の指示はありません。
この家に関わった大工さんのこだわりなんです。
こんな加工、手間ですよね。
当然こんな加工をしていない大工さんもあります。
結果は 『隙間が出来る』 という事実が教えてくれます。
住まいは人が住み始めると急激に乾燥が進みます。
特に高気密高断熱住宅はそれが顕著に現れます。
あっという間に材は乾燥し、同時に動きはじめます。
まあ、一般で使われる集成材であればこんな心配はないのですが゛
一枚板であるがゆえに起こることでもありますね。
(大方の家の階段は集成材ですのでご安心を)
それが本物、生きている素材だという証しでもありますが。
この階段板の写真もあります。
ヒノキの年輪が美しいですね。

その階段の下地も大方出来つつあります。
近いうちに階段が掛かっているのでしょう。

階段が掛かってしまえば裏の加工は全く分からない仕事なんです。
「イイ仕事」というのはそういう仕事なんだとつくづく感じます。
玄関の式台も入っていました。
このヒノキも好い顔をしてますね。

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