奈良の建築家 浅野勝義の家づくりBLOG

伊豆長岡温泉 三養荘

 
伊豆長岡温泉 三養荘
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伊豆長岡温泉 三養荘
伊豆長岡温泉 三養荘

私が伊豆長岡温泉を訪れたのは2018年の秋でした。
当日は鎌倉から新横浜経由で三島駅、そこからレンタカーを借りて現地へ。
三島から南へ車で30分ほど、狩野川の橋を渡るとすぐ、山を背にして三養荘が
ありました。

三養荘は、旧三菱財閥の創始者岩崎弥太郎氏の長男久彌氏の別邸として、
京都の 庭師小川治兵衛の手による壮大な日本庭園の中に数寄屋造りの和風
建築として 建築されました。

昭和22年に旅館三養荘として15棟で営業を始め、順次増築され、
昭和63年に 村野藤吾氏設計による新館がオープン。
平成5年に新館最後の建物が完成して います。

このホテルを選んだ理由は、村野先生の晩年(と言うか没後)の作品である事。
いわば集大成なわけです。 
そして、このホテルは当時と殆ど変わらないままで 営業している事が驚きなわけで、
それが私がこの三養荘を見に行きたいと決めた要因です。

建物新館がオープンした昭和63年より既に30年以上経っているのです。

新館建物は村野先生晩年の作品で、御年90歳を過ぎていたそう。
先生が生前にスケッチと模型で検討を重ね、没後に実施設計の図面が作成、
着工されました。

当時は時園国男氏と近藤正志氏が中心となって出来上がった 建物です。

この三養荘は自然の地形を生かして建物が点々と建ち、エントランス棟を中心に
これらを長い渡り廊下で繋ぐと言う贅沢な造りをしています。

各室は庭に面した縁側を持ち、緑に囲まれた庭を望むことが出来ます。
そして同じ間取りはありません。 うろうろと廊下を巡りましたが全体像は帰宅して
配置図を見るまで知る事は 出来ませんでした。

新館の構成は、エントランス棟の北側で8棟11室、南側で13棟余20室(浴室棟・
宴会場棟、エントランス棟を含む)を渡り廊下で繋ぐと言うとてつもない広さと
各室それぞれに取り入れられた庭の優雅さには驚かされてしまいます。

そもそもこの三養荘のある敷地はなんと、139,738.00m2(4万4千坪)。
広さの感覚が全くつかめない広さですが、甲子園球場の総面積が38,500m2と
言い ますから、3.6個分の広さ(これもよく分からない)の広大。

この中に平屋の数寄屋 建築を点在させているイメージです。
建物の延べ床面積は6,426.91m2との事で、これだけの広さの建物を全体計画と
一棟ごとの設計となると壮大過ぎて・・・

伊豆長岡温泉 三養荘

エントランス棟入口です。
石畳の奥に建つ建物は、深い屋根がゆったりとしたカーブを描く
むくり屋根で、その上に架かる越屋根が建物の上品さを感じます。

伊豆長岡温泉 三養荘
エントランス
伊豆長岡温泉 三養荘
伊豆長岡温泉 三養荘
玄関入口から
石畳の向こうにも別棟が伺えます。これらすべて客室棟です。

エントランス棟から円形のラウンジへ行く勝手口があります。
このデザイン、とても私は美しく感じました。

伊豆長岡温泉 三養荘
とても大きく緩やかな大屋根。
少しむくっているのが美しい。

内部エントランスで靴を脱いで上がるのですが、いわゆるスリッパは
無く、そのまま裸足でフロントへと奥へ向かいます。

この通路も見る所満載で、気にしだすと前に進まなくなりますので、
そのまま奥へと。

長い廊下を渡っているのですが、到着時間が遅かったため、廊下にある
広い窓の外は真っ暗でした。

幾つかの客室の入口を越え、宿泊する《横笛⦆に到着しました。

伊豆長岡温泉 三養荘
横笛 入口

あまり見た事の無い引違い戸(建具は板と竹の組み合わせ)を
開けて中へ入ります。

伊豆長岡温泉 三養荘
畳敷きの玄関
裸足ですから違和感はありませんが・・・

入ったところに靴もスリッパも脱ぐわけではありませんので
これでよいと言えばそうですね。

入口で間違いなくここは入口です。

入って廊下が二手に分かれ左手の入口を抜けると6帖の和室。
その奥には続きの間で10帖と床の間、そして再び廊下へと繋がるります。

伊豆長岡温泉 三養荘
奥の和室。障子の向こうに庭のある縁側があります。
伊豆長岡温泉 三養荘
左手は縁側、中央床の間、中央右手は化粧の間

いろんな所をシゲシゲト見て回りました。(笑)
本当に良く考えられた造りです。

当初、床の間横から入る2畳の間が何であるか不明でしたが、鏡台が
置いてあることから化粧の間(着付けの間)である事に気がつきました。
隣りが洗面所である事も理に叶っています。

伊豆長岡温泉 三養荘
床の間横の出入り口。
正面が化粧の間入口。太鼓襖が床の間にとても合っています。
伊豆長岡温泉 三養荘
和室間の欄間です

欄間です。
とてもシンプルで美しいスタイルです。

広いスパンを飛ばしているにも拘らず、薄い鴨居に対して柾目の幕板が
その補強とデザインを引き立たせています。
垂れ壁とのスリットも綺麗。 中央部に吊り木がありますが、これもさりげなく
R加工されているところが好いです。

伊豆長岡温泉 三養荘
朝になって庭が広がる縁側

一段下がった縁側です。
全面ガラス張りの縁側で、とても座り心地の良いチェアが2脚と、
真ん中に瓢箪型のテーブルが何気なく。

長くなり過ぎましたので、次回へと続きたいと思います。
近日アップ予定? です。

浅野勝義/奈の町


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