嬉野温泉 大正屋

 

嬉野温泉 大正屋

庭が繋がっている障子!

 

吉村順三先生の第2弾
九州佐賀県 嬉野温泉の大正屋さんです。

 

奈良から佐賀へ、長い電車旅行

私が大正屋さんへ伺ったのが、昨年(2019)の7月の始めですから
丁度1年前になりますでしょうか。

新大阪から福岡、福岡から鳥栖、鳥栖で乗り換えてハウステンボス
への途中に武雄温泉駅があります。 私はハウステンボスで一泊
してレンタカーで嬉野温泉へ向かいました。

吉村先生のファンであれば、この大正屋さんへはどうしても行きたい
訳で、明るいうちに客室に入りたくてワクワクしていました。

 

吉村先生の遺作 大正屋さん

大正屋は大正14年(1925)創業。
大正屋の山口英子社長(大正8年生まれ)が、自分の求めている宿
建築が違うと感じ、業界雑誌「ホテル旅館」の編集長から視察先の
宿の紹介を受けたのが、京都の俵屋さんに文殊荘さんでした。

以前に文殊荘の新館オープンの葉書をもらっていたのを思い出し
そこに書かれていた心に残っていたそうで。
(これ、書籍に乗っていた運河と宿の断面スケッチですね)

社長が俵屋さん、文殊荘さんに泊まられ、感動し、設計者を聞いて
2件とも同じ設計の先生である事の驚き。 そして我が建物との違い
に落胆。 そしてまた、水路に沿って音楽を奏でるような建物と感じた
文殊荘が大正屋の離れと同じ2年前に建ったことに驚いたそう。

この表現は、「凍れる音楽」とも表現された薬師寺東塔にもあるように
素晴らしい建築の表現でもあるのでしょぅ。
「水路に沿って音楽を奏でるような建物」・・・文殊荘さん見て下さい。

 

建築家・吉村順三との出逢い

昭和45年に新館を建てるにあたり、社長の頭には”吉村順三”の
名前しかなかった。 
東京の吉村先生の事務所で逢ったのが英子社長51才、吉村先生
62才でした。

大正屋の第1期工事は昭和47年から。49年に新館完成。
昭和52年から「衆芳亭」を含む 離れ棟と別館が完成。

その後、平成2年~3年に新館、平成7年から椎葉山荘、等々。
82歳で亡くなられた吉村先生亡き後、板垣弥也氏が平成2年から
59歳で亡くなるまで設計を担当していたそうだ。

現在は、離れ棟23室を含む新館等合わせて全室75室を誇る大旅館
です。

 

離れ棟 「衆芳亭」

私が泊まったのが昭和52年に完成した、離れ棟の「衆芳亭」です。
ここまで来たら、宿泊はこの部屋しかありません。

やはり大正屋さんのシンボル的な部屋で、茶室まで備えられている特別室です

 

嬉野温泉 大正屋
      ロビー

階段を超えると廊下の突当りが 衆芳亭になります。

廊下を歩いていると・・・
カラフルな絨毯がいつの間にか毛氈に変わりました。

 

嬉野温泉 大正屋
廊下

嬉野温泉 大正屋

衆芳亭の玄関に着きました

 

玄関を入って初めの8帖和室です。
ここは茶室にもなっています。

 

嬉野温泉 大正屋
     和室法(茶室)

 

障子の向こうは庭と繋がっています。
右手は床の間、左手手前には水屋への障子があります。

 

嬉野温泉 大正屋
     和室(茶室)


嬉野温泉 大正屋
              水屋です。 仕様も本格的なもの

 

廊下から奥の間へ進みますと、壁沿いにカウンターがありました。

ここもとっても良い場所でした。

 

嬉野温泉 大正屋

文机です。化粧台にもなります。
正面の障子もいいですね。

障子は2枚とも襖に収納できます。
でも、それだけではありませんよ。

 

嬉野温泉 大正屋

               襖を開けると、鏡が設えています。

 

さて、メインの部屋へと。
振り返りますと・・・

 

嬉野温泉 大正屋
       12帖の床の間付き和室。

 

右手の大きな障子は引き込み障子で・・・

 

嬉野温泉 大正屋
庭が繋がっている!

 

美しい景色がそこに広がります。

あの座卓に座りたいでしょう?

まてまて。正面の障子の気になりますので、開けてみます。

嬉野温泉 大正屋
    障子を開け放つと森の中にいる様でしょう!

 

障子は全て引き込み可能で、外のガラス建具の枠は見えません。
私もこの手法を取り入れているのでよく分かります。

そこの所をちょっと。

              ガラス建具の枠に注目

 

カウンターの外部側に木製建具の枠が無いので、正面から見ると
何も無いように見える手法です。

1段下がった縁側に出てみます。

 

嬉野温泉 大正屋
             座椅子の視点で見てみます。

 

もう、、、気持ちイイですね。

ええ、ええ、室内のディテール測りましたよ。 
夜中にメジャー持って。

オカシイ人です。 でも、寝れません。
あちこち測りました。

早朝、庭に出てみました。
とても美しく、緑の空気を吸うことが出来ます。

そうそう、この大正屋さんは温泉街の中にある宿で、
広大な敷地の中にある宿ではありません。
にも拘らず、この緑は美しい。 

 

嬉野温泉 大正屋
            
            庭に出てみました。 美しい建物ですね。

焦ってきました。 長くなり過ぎて・・・。

水廻りから。

嬉野温泉 大正屋

              洗面室です。 

 

緑が見える大きな窓と大きなミラーの効果で、広く明るい
緑溢れる洗面室になっています。

これイイですね。

 

嬉野温泉 大正屋
       
                浴室です

 

床も壁も新しいヒノキがいい匂いで気持ちよく、
浴槽もヒノキ風呂(槇かな)で、手入れがとても行き届いていて、
部屋に入った際は、暖かいお湯が入っていました。

まだまだありますが、この辺りにて。
沢山の写真は私の宝物なので置いておきます。

どこかの住まいで使わせてもらうかもしれません。
お楽しみに。

最後に有名な大浴場滝の湯をご紹介します。
吉村先生のこだわりのお風呂です。

嬉野温泉 大正屋
    滝の湯

それでは、これ位で。

大正屋さん、その節はありがとうございました。
吉村先生の設計に触れられて、いい思い出になりました。


浅野勝義/奈の町
2020年6月16日

 

Link 吉村順三設計

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