奈良の建築家 浅野勝義の家づくりBLOG

音を奏でる古い箪笥

 
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現在設計中の住まい手さんのお話です。

住まいを建て替えるために現在の家を整理中(処分か利用かを分別)で、

とっても大変な状態になっている最中に、先日私がお邪魔致しました。

 

話は前後いたしますが、住まい手さんのプランニングをさせて頂きます際は

それぞれのご家族のいろんな話を聞かせて頂きます。

その中で現在お持ちの家具などの話もします。

 

思い出のある箪笥や長持、建具に調度品など新しい家に持ち込む

ものであるのかを手に入れられた経緯なども聞かせて頂きながら

確認してゆきます。

 

そんな話の中で、

『引き出しを開け閉めすると、音が鳴るんですよ!』

住まい手さんが、そう言われました。

当初聞かせて頂いた際は、話の中でそんな家具があると聞きました。

確かに状況によっては引き出しが擦ったりする場合などに音が鳴る

事はあります。

今度、一度見せてくださいね。

 

・・・で、家の中を整理中のお住いに伺いました話に戻ります。

さてこれがお話しの箪笥です。

 

音が鳴る箪笥

この箪笥、見るからに味わいあるとは思いませんか?

お聞きするに祖母(曾祖母?)が嫁入りに持ってこられた家具だそうで、

既に90年以上昔のものだそう。

 

造りもシッカリとしており、特に歪もなく、引き出しもスッと引き出す

ことが出来ます。

箪笥は上段、中段、下段と3つのユニットに分かれており、それぞれが単独に

設置することも出来るようにそれぞれ床からの幅木も考慮されています。

引き出しの面材は時間が経ちすぎて不明ですが広葉樹でしょうか。

中の引き出しは杉で作られており、引き出しの金物もすべて付いています。

引き出しの表情も3つとも違っており、一目で持ち込むべきと判断します。

 

そうそう、『音のなる引き出し』の話ですよね。

 

その音の鳴る引き出しは、一番上段のユニットの真ん中だそう。

 

中央の引き出しを引くと・・・

 

引き出しを引いてみると、ファーーーっと結構大きな音がします。

閉めても同じく鳴ります。

その音は懐かしい感じのする、そうハーモニカのような・・・

それも一つの音でなく和音でしょうか。

両サイドの引き出しを開け閉めしても小さな音が聞こえます。

 

不思議ですよね。

固定の引き出しを開け閉めすると音を奏でるなんて。

 

引き出しを引き抜いてみました。

すると、引き出しの一番奥にその原因を見つけました。

一番奥の上部にハーモニカが埋め込まれていたのです。

 

原因が分かればどうってことは無いのですが、よく考えてみてください。

90年以上昔、引き出しを引く度にハーモニカの音がする箪笥が造られていた

なんて、なんて夢のある話ではないですか!

その作った家具職人さん、御洒落だと思いませんか?

 

その家具は、このご家族の母娘さんの大切な宝物のようでした。

次の家でも大切に飾ってあげたいと思います。

 

今回は、新しい住まいへ持ち込む家具の話でした。

 

浅野勝義/奈の町

 

 

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