解体されると躯体の問題点が出てきました

築120年の古民家を、高齢の父と息子2人が一緒に改修する家

内部がすっかり解体されると、建物の構造体が良く見えて来ます。

まず初めに仏壇廻りの状態が問題である事に気づきます。

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この住まい(古民家)の四間取り和室の北西側は、

4畳の仏間となっています。

上の写真の襖部分(仏壇収納部)を見れば少しいびつである事が

分かるでしょうか?

全体に右下へと歪んでいるのが見えるでしょうか。

事実、右下の足元には柱や束など軸力を支える構造体は

存在していません。(写真をよく見れば柱が無い事に気づきます)

仏間の荷重と壁の荷重で下がっているのです。

また、この存在しない柱の対面側(手前)側にも問題がありました。

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写真中央部にある2本の柱を見てください。

右手は4間取りの交差する柱で、屋根からの荷重の真下にあります。

左手の煤で黒くなっている柱は4間取りの中央を通り抜ける差桁の

端部を支えている柱です。

まず交差部の柱? ですが、よく見てみます。

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右手の柱? がそれですが、これは柱ではなく交差する建具の

戸当たりとして設置された枠である事が分かります。

と言う事は、その先にある黒い柱(左側)がこの辺りの全荷重を

受けて立っていると言う事です。

この柱をよく見ると荷重のせいか縦割れが生じています。

また、柱の上部に架かる差桁も大きな荷重からか捻っています。

もう一つは各柱の建ちを修正すること。

100年以上の時間と共に各柱はゆっくりと傾斜・沈下しており

そのまま内部の建具なども補修されています。

今回は出来るだけ改修部分の柱の建ちを垂直に直すことです。

他にも問題点がいくつか確認できましたが、大きな問題点である

上の3点を確実に解消する必要があります。

まず、仏間のコーナーですが、柱の無い部分に新たな柱を設置して

その下部にしっかりとした基礎を造る事にします。

仏間(押し入れ部分)の上がり框の下もシロアリで傷んでいるので

下地や框も全てやり替えてしまいます。

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次は問題の交差部の柱です。

長い時の間、無理な負担を掛けていた黒い柱を開放するために、

本来上部の荷重を支えるべき交差部分に新しい柱を取り付けます。

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柱が横に動く事の無いようにボルト引き寄せています。

これが出来たことで以前から無理な負担を担っていた煤の柱は

お役御免となり、新しい柱を設置して本来受けるべき屋根荷重を

支える柱となってもらいました。

また、内部には新しく基礎も設置しています。

既存部の重要部分及び新設壁の耐震部分へ設置しています。

今回の改修部分に関しては、床下、外壁、そして天井部分に

しっかりとした断熱材を充填するとともにフィルムによる気密性も

確保するようにしています。

床組みをすべてやり替えて、断熱材を敷き込んだ様子

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床下の断熱材は高性能24kのボードタイプで、熱抵抗値2.2、

熱伝導率0.036を使いました。

構造補強用の金物も設置するとともに

本体主要構造部の垂直面及び水平面の補強についてはコボットを使いました。

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天井裏にもブレースとして使用

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これから内部の下地が造られ始めますので、また

その様子をご紹介したいと思います。

浅野勝義/奈の町

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