【神戸市が来年度から全ての空き家に税制優遇を廃止へ】

神戸市が来年度から全ての空き家に税制優遇を廃止へ

 

神戸市、来年度から利活用の見込みがない全ての空き家に税制優遇を廃止へ

結構、驚きのニュースが入ってきました。

2020.10.30 SankeiBiz より

増加を続ける空き家対策として、神戸市は来年度から利活用の見込みがない全ての空き家について、固定資産税の税制優遇を順次廃止する方針を固めた。市への取材で分かった。一般的に、優遇措置を停止できるのは倒壊の危険があるなどの条件があった。税負担が増すことで、神戸市は所有者の早期の対応に期待する。空き家に伴う防犯・防災での課題に対応するとともに、土地や建物の利活用にも生かしたい考えだ。・・・続く

空き家が今もたくさん残っている原因。
それは、やはり『家屋が建つ住宅用地は、固定資産税などが減免される特例』が大きいために解体することなく残っている事が多いと思います。

平成27年に『特定空き家』として周囲に悪影響を及ぼしたり衛生上有害や放置しておけない等のような空き家を指定し、代執行による強制解体が出来るように対策を取ってはきたのですが、空き家率が毎年増えている現状を踏まえ、神戸市が動きました。

このまま空き家が増えると、倒壊や火災、犯罪なども考えられるため、神戸市は来年度から特定空き家も含めて固定資産税の減免を無くすという驚きの決定をしました。

例えば現在の空き家所有者が支払っている固定資産税を年間7万円だとした場合、令和3年度から土地の優遇が無くなりますので約3.5倍の24万5千円/年となるそうです。

この話、現在空き家をお持ちの方はとっても気になるニュースですよね。

 

【神戸市が来年度から利活用の見込みがない全ての空き家に税制優遇廃止】
詳しく説明します。

 

空き家はなぜ人が住んでいないのに解体しないのか。

〇小さいころからの思い入れがあるので壊せない
〇親戚が集まる際に使うためにそのまま置いている
〇古くて手を入れるには手間だしお金も掛かるから
〇壊すとお金がかかる上に固定資産税が上がるから
〇親が介護施設に入っており、戻ってくる可能性がある

やはり、最後の固定資産税が上がるからという理由の占める割合が多いと思います。

固定資産税は入居しているかどうかに関わらず、毎年1月1日現在でその不動産を所有している人に市町村が課税するもので、今回の軽減処置とは更地のままでは高くなる税金を建物が建っていることで、土地の評価額を軽減してくれる制度です。

固定資産税の軽減措置

200㎡以下の部分(小規模住宅用地)の軽減措置
固定資産税 土地の評価額×1/6
都市計画税 土地の評価額×1/3

200㎡を超える部分(一般住宅用地)の軽減措置
固定資産税 土地の評価額×1/3
都市計画税 土地の評価額×2/3

例えば建物の評価が500万円、土地の評価が1800万、建物の床面積が170m2(200m2以下)だった場合、固定資産税は幾らになるか例にして算定してみます。

固定資産税の算定式は、評価額の1.4%で土地と建物それぞれを算定して合計します。
(400万x1.4%)+(1800万x1/6×1.4%)= 9.8万円/年

もし軽減が無くなると(特定空き家に指定されたと同じ土地の軽減が無くなる)、固定資産税は、
(400万x1.4%)+(1800万x1.4%)= 30.8万円/年

特定空き家に指定されたと同じ考えで軽減処置が無くなると、約3倍になりました。
駐車場1台分程度だったものが、1か月の給料分になってしまった感じです。

この比率は土地の評価が高い場所ほど固定資産税が上がります。
市町村側から考えれば、税収は3倍です。

この固定資産税に都市計画税を加えると・・・考えたくありませんよね。

 

【神戸市が来年度から全空き家に税制優遇廃止】
このニュースによって、この後いったい何が起こるのか?

【神戸市が来年度から全空き家に税制優遇廃止】

都道府県の主な指標

どこの地方自治体もこのニュースを見ていると思います。
空き家対策は日本全体の問題ですから。

添付しました表は、総務省発行の平成30年度(令和元年)の住宅・土地統計調査から抜粋した部分です。

奈良県を見ますと、総住宅数は61.8万戸、居住世帯のある住戸は52.9万戸とあります。

持ち家率は、全国6位の74.1%。総戸数の約3/4は持ち家だという事ですね。
奈良の方は持ち家率が高いです。
また、空き家率は14.1%。7戸に1戸は空き家です。7戸に1戸もです。

これだけ多い空き家はどの地方自治体でも問題になっています。
今回の固定資産税の見直しについて、私は全国の各地方自治体もこの神戸市の方針に追随していくのではないかと思います。

今後地方自治体(市町村)は、固定資産税を増額することで、空き家の所有者に行動を問うことになるでしょう。

所有者は再利用か再活用か、解体か転売かの判断をする時期が来たという事です。
再利用をするより処分を考えていたとしても、買主がいるかどうかも心配です。
解体に数百万投じたとして、改修可能な地域に建つ空き家は良しとしても、地方の空き家はその費用を回収することすら難しいでしょう。

今後の進展としては、空き家の再利用プロジェクトが進んでゆくでしょうし、また、空き家の売り物件も増えるでしょう。

土地を探してられる方にとっては、もしかしたら良い場所で良い条件の中古物件を手に入れる事が出来るチャンスかもしれませんね。

 

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