田園風景の中、突然目の前に現れる草屋根の不思議な建物。
この建物は、辺り一面緑の草木の景色の中に溶け込んでしまっています。
見た瞬間、面白ろそうな建物。
「あの中はどうなっているのだろうか。 古代遺跡が何か眠っているのだろうか」
と感じる形に見えるのは、私だけではないはずですよね。
設計・監修は建築家 藤森照信氏が手掛けられました。
実はこのラ・コリーナ近江八幡は、滋賀県にある菓子メーカー〈たねやグループ〉
が作り上げた複合施設で、この建物はこの施設のメインショップになっています。
土間の通路を歩きながらこの建物に近づいて行くと、緑の中に半分埋まって
いる のかと感じられるほどの屋根の低さが目に留まります。
側面から中に入ると回廊があり、ベンチが置かれているのですが、
ここに座るとちょうど 屋根の下から風景が切り取って緑の絨毯が見えるのです。
回廊の広さと言い、天井の高さ、明るさなどを上手く計画されています。
そして、この低い屋根のデザインはこの施設内における建物と共通しています。
このままではいつまでたっても中に入れませんので、
早速、メインホールに入ります。
メイン扉を開けるとそこは真っ白な壁と天井で構成され、とっても明るい
吹き抜け空間が 広がっています。
外観とは全く異なる空間です。
やはり、古代遺跡はありませんでした(笑)
一番先に目に入ったのは、
『吹き抜け天井一面に点々がある。』
あれはいったい?
ホールの左右にはショップがあるのですが、それが気になって
階段を登り ます。 近づいてみると黒い点々は、炭ですね。
漆喰の壁に炭片が張られています。
後で調べてみたのですが、この点々は、アリをイメージして造られたようで、
アリのすぐれた社会性に学び、いつも人々が集い、にぎわう場でありたいと
いう想いが託されているのだそうです。
しかしこれがもしアリなら・・・
気を落ちつけて左右のショップを見て、お手洗いに。
面白いサインを見つけました。
和紙に絵を描いたものを漆喰の壁に張っている。
面白いアイデア。
・・・おお、これは良い。
中に入ります・・・
壁は縦の板張り。隙間を開けて漆喰を塗って仕上げています。
塗り方もハンドメイドな感じ。
このハンドメイドな感じは全体に共通していますね。
窓枠の処理もこんな感じ。
メインショップを出ると、正面に広い田んぼが広がります。
丁度この季節は稲刈りの時期だったようです。
右手はカステラショップ、その奥はたねやさんの本社になっているそう。
銅板吹きの丸いドームが気になってしまう。
あの上の窓から見れるのかな・・・
振り返りながらメインショップを見上げると・・・
真ん中の田んぼを囲むように回廊が奥まで伸びています。
これも遊び心いっぱい。
メインショップの2階でコーヒーを頂いていた際、この回廊が気になって。
この先はどこに行くのだろうと。
て、その回廊、壁・天井は板張り(杉かな?)で隙間をシックイで塗っている。
板張りも脳天から釘打ち。 セルフビルド感満載なんです。
微妙に廊下が右へ曲がっている。その先が気になります。
終点は、小さい小人のドアがありました。
気になりますよね~
勿論、中に入りましたよ~ 。 はは。
とっても愉しい一日になりました。
直線で構成されていない建物。
柱も製材せずに自然のまま使って建てる。
吉野の金峯山寺蔵王堂の様に山の上にある訳でもないのに。
ちょっと自分には考え付かないデザインですね。
それがとっても意外。
『このランドスケープは、自然のまま手を入れない形に拘り造りました』
そんな印象でした。 まさにメインショップのコンセプトイメージと一緒ですよね。
私の設計は、直線で構成される住まいなわけで、曲線は部分的に使う手法だけに、
とっても新鮮に感じます。
帰りはメインショップでバームクーヘンを購入して帰途につきました。
2019.09 ラ・コリーナ近江八幡にて
浅野勝義/奈の町
ラ コリーナ近江八幡
滋賀県近江八幡市北之庄町615-1
入場料も駐車場代不要