古民家部分の補修

奈良町の家

今回は既に建っている古民家の改装工事(というか改修)について、
ご紹介したいと思います。
内部の壁仕上げは土壁と漆喰がその殆どです。

ここは通り土間です。




流し台が妙に浮いていますが、これは撤去します。
当初の間は流し台はなしと決まりました。
さて、その壁ですね。
台所回りと通り土間周りは漆喰にて仕上げます。
今見えている壁はその下地ですね。
ここには足場が組まれていて、上から明りが洩れていますね。
そう、上部は吹き抜けです。

上に行きますとこんな状態です。




二階は白い壁になっていますね。
ただしこの壁は漆喰ではなく、土壁の下地なのです。
そしてすでに補修・下地処理は済んでいます。
この上から仕上げを塗りますと、土色に仕上がる訳ですね。
(ちょっともったいない?)

この隣の壁を撮った写真があります。




ここも土壁になっていますね。
この上に土壁を塗って仕上げます。
ところが簡単に上に塗る事は出来ないのです。
古くなった土壁はその粘度も無くなり、上に塗った土はそのまま壁に
定着する事なくそのまま分離して塗った土とともにめくれてきます。
ほら、ジュラク壁などで古くなると触るだけでパラパラと落ちて
くるでしょう? それとおんなじです。
時とともに粘度が無くなってくる事、考えれば当たり前のことですよね。
今回は傷んでいる所を補修し、土壁の仕上げとする ―というのが
仕様ですが、仕上る前にめくれてこない為の工程が必要です。
土壁が定着するためのボンドを薄め、土壁全面に吹き付けます。
柱周りは手で拭きとる訳ですが、ボンドがある程度固まってから
土壁塗りの工程に入る訳です。
また、補修の工程ですが、木部や傾斜の影響などでクラックや隙間
の入った壁は、ある程度めくり落として割れ止めネットを塗り込んで
おく必要があります。

これがクラック防止ネットを貼って処理した壁のアップ



処理済の壁




土壁の補修は予想以上に手間が掛ります。
その分、味わいは最高ですが。
仕上げの土壁見本が出来ていましたのでご紹介します。

見本のボードはこれ。(30cmx30cm)



アップにすると…




緻密でスサの混じる模様が何とも言えない味わいがあります。
ちなみに茶室の壁は、骨材がもう少し細かくなるようです。
腰に貼る和紙にも関係あるのでしょうか。
そう言えば昨日、茶室に使う障子紙、腰に貼る和紙を表具屋さんに
お渡ししました。
結構な枚数があり、それぞれ使う部分によって和紙が異なってる
のも伝えさせていただきました。
これから土壁の仕上げに取り掛かります。

ちなみに中庭の現在の様子を。



着手前の写真もありました。




庭も手を入れて美しくなります。
もちろん建物の外壁もね。

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