東大寺 二月堂

東大寺大仏殿の東側丘陵の傾斜地に建つ「二月堂」

この二月堂には他の建物と違う大きな特徴があります。
それは建物が傾斜地(それもかなり急な)にせり出す様に建っており、
床下に組まれた柱で建っていることでしょう。

柱とその組もの



この様な建物は、清水寺や長谷寺(他に護国孫子寺本堂、室生寺位牌堂等)
等のように崖や岩の上に建つ建物なので、観音菩薩を御本尊とするお堂通り、
十一面観音が御本尊です。
奈良時代の建物は1667年まで存在していましたが、この年の修二会で
焼失してしまいました。(やっぱり火事になった事があるのですね)
現在の建物はその翌年1668年に徳川家綱による再建されたものです。
江戸時代に再建されてはいますが、建築を高く評価されて平成17年、
国宝に指定されました。


二月堂は、間口7間 奥行10間の平面を持ち、寄棟造、本瓦葺き。
寄棟の妻面を西に向け、奈良盆地を見渡せる様に舞台を持っています。
このお堂への登り口は南北にあります。
南側の階段と、北側の階段ですがこの階段には屋根があります。

北側階段





南側階段から私たちは登りますが、本来南側の階段は3月12日深夜の
「水取り」の時に若狭井へ下りる際に使用されるものだとか。
この階段の上下3段にある線刻模様はその際に滑って転ばないように
ノンスリップとして刻まれたものだそうです。

南階段 下の三段
nigatu-3

上の三段

nigatu-4


さて堂内の構成ですが、これは大変複雑のようです。
中央(後寄り)に3間×3間の内陣を設け、ここの須弥壇に秘仏である
十一面観音を安置してその周りで修二会の作法が行われます。
内陣の周りには1間幅の外陣が囲み、更にその外側に小さく区切られた
部屋(局)で囲まれています。(北・東・南面)
修二会当日、私も東面の局に入ることが出来ましたが、中は大変狭く
暗い空間に沢山の方が入場しておりました。 女性ばかりで居づらく
すぐに退出しましたが、各局には出入り口が一箇所しかありません。
東・北・南だけで6~7箇所の局がある様子。(数えりゃよかった…)

東面

南面



他の3面と異なる西側は礼堂となっています。またその外側にも局が
あります。この西側はオープンの舞台となります。

吹き放しの舞台部分

舞台から見る落陽



平面的にいいますと、内陣を中心に幾重にも部屋が取り巻いている
状態になっている訳です。
建物の外へ出ますと、二月堂の手前には鎮守社の1つである興成社があり、
その横に良弁杉がありますね。
建物内の秘仏である十一面観音は堂内の前後に2体安置されています。
それぞれ「大観音」「小観音」と呼ばれているようで、絶対秘仏で
すから私たちは拝観することは出来ません。
二月堂は修二会の行事に特化した建物ですが、この修二会は、752年東大寺
開山良弁僧正の高弟、実忠和尚によってはじめられたと伝えられています。
以来一度も途絶えることなく現在まで1250回(2009年は1258回)続けられて
いることに驚かされました。
いまでは3月1日から2週間に亘り行われていますが、もとは旧暦の2月1日
から行われていましたので、二月に修する法会という意味をこめて「修二会」
と呼ばれるようになりました。
また二月堂の名もこのことに由来しているそうです。
以下は2009年の修二会にて舞台にいた際撮ったお松明の写真です。

目の前を走るお松明

火の粉が振り落ちるお松明

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