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美邸の改修_良質な民家のリノベーション[木材編2]

 

美邸のホール床から良材を再利用
前回に引き続き、美邸の素材を使ってリノベーションに生かします。

今では貴重な良材がサックザク

玄関ホールの床板が果たして一枚板なのか?

以前、知り合いの建具屋さんの自宅へお邪魔した際、
玄関の床板に幅45cm位の桜の1枚板が床板として張られていたことが
ありました。(45cm幅の桜の板材を採るのにどれ位の大樹が要るか)
現物を見てとっても驚いたのを覚えています。
社長さんは笑って在庫品があったので使いましたとお聞きしました。

此方の住まいは玄関のホール部分の幅が本間サイズで1間半、奥行きは
玄関部を除いて4間あります。
床には2.8mx0.85mの一枚板がそのまま張られています。

ホール床の写真

この左右の幅は約3Mもある一枚板です。
これは本物の板材なのか、貼り物なのか?
まあ、貼り物にしても大きなサイズですが・・・。

床下に潜って板の留め方を見て本物と分かりました。
厚みは33~40mm。
これそのまま1枚板です。

初めてみた時、この光沢の為に素材が何なのか分かりませんでしたが、
材種はブビンガですね。

世界の3大銘木である、紫檀・黒檀・鉄刀木のうちの紫檀。
これが市場から手に入らなくなって、代用木が花梨(カリン)へ代わり、
更にブビンガはカリン材の代用木で、現在では手に入り難い高級品の
材料となっています。

しかし、昔は手に入った材料だとしても、これだけ大きな材料の板を
10枚近くホールに張っているというのは果たして本物なのだろうかと、
考えてしまいました。それほど貴重品ですね。

これもまた、贅沢な話です。

私は以前ブビンガの無垢材を使って階段を設計したことがあります。
大きな材料をカットして厚さ50mmの段板を作ってもらった事があり
ました。

この美邸は、その板を大きな盤のまま床材に使っています。
流石にこれだけの大きな板の反りを押さえるのは難しく、裏側でボルトで
お互いを引っ張る加工がされています。
それでも反りも激しく、継ぎ目の位置は反りと共に少し開いており、
場所ごとに不陸もあります。

しかしそんな事はどうでもいい位インパクトがありますね。

この床の光沢、ピカピカって感じ

玄関ホールの写真

 

リノベーション計画では、このホールの半分を取り外して、その部分を
リビングに組み込んだプランとしました。

ですので、この大きな板材が4~5枚使える材が出て来るのです。
さて、どの様に使おうか・・・

 

一枚板を取り外した状態

 

その前に、この板材を使われているホールは4間と言いましたが、
その奥には45㎝x130㎝程の床板(ブビンガ)が直交しており、
この板も12枚あります。

当然、この板材も再利用をします。
この材料は、木目が少し違いますが、ブビンガです。

 

ホール奥の床板の様子

床板を取り外している様子

取り外した床板

この板は、勝手口廊下の床板と階段の回り段に使います。

更にこれで終わらないのがこの家なんです。

 

階段も無垢のブビンガで出来ている

このホールにはストリップ階段があります。
そしてこの段板も、ブビンガの無垢で造られています。

また、段板だけでなく、ササラも受けも全て無垢のブビンガです。

まあ、なんて贅沢な、と思いますが、残念な点もあります。
それは、この階段を昇り降りすると分かりますが、勾配が急な上に、
踏面が狭い。
そして片方がオープンなので降りる際に結構怖いのです。

これは使えない。
階段はもっと緩い階段でないと使えないので造り替えを行います。

古い家の階段は良い材料が使われていても、いつも急勾配なんですよね。
いつもそこが残念なのです。

段板の片方は受け材に嚙み込んでいるので再利用をするには、欠けて
いる部分の埋め木処理も必要になります。

以前の階段の写真

段板を取り外した状態

取り外した受け材やササラも捨てないで使います。
この材料は、板材の小口や框に再利用します。

埋木をして手直ししたものがこれです。

綺麗に埋木処理されています

階段に取り付けるととっても調和します。

ゆったりと回り段部分はこの様に仕上がりました。

 

如何でしょうか。
縁側の板を2枚+αで剥ぎました。

 

 

続きは、『木材編3』でご紹介します。

 

美邸の改修(奈良市)は、奈の町のホームページにて設計監理と完成写真を
ご紹介しています。

 

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