想いをカタチにする家づくり 第1回「自分のこだわりを伝える」(動画あり)

これから家づくりをする方に、家づくりの注意ポイントやお勧めの方法をお伝えしたいと思います。
住い手さん主体でお話ししたいと思いますので、進め方や考え方等を知って頂くだけで家づくりの見方が変わると思います。
私のこの話が貴方の愉しい家づくりのお手伝いになると嬉しいです。

家づくりが始まると、どこでもそうですが要望(書)を聞かれると思います。
今回は、その要望(書)の伝え方をお話します。

要望書

家づくりの計画を進めるうえで、初めに要望(書)を聞かれると思います。
設計事務所や、住宅会社の設計担当者へ伝える要望内容について、その書き方をお話します。

この方法は、貴方の家族の為だけのプランをしてもらう秘策です。
だって、計画をしている私自身が言っているのですから。間違いありませんョ。

その書き方の目的は、
具体的にやって欲しい事ではなく、何を解決してほしいのか
を伝えることです。
ちょっと理解しにくいですよね。
ではこれから詳しく説明させていただきます。

人は問題点や希望を頭の中で解決し結論を出す事で、その結論だけ伝える。

実は、一般的に要望書の中に書かれる内容は、解決したいことではなく、自分で解決した結論であることが殆どなのです。

実は、自分で出した結論をそのまま造ったとしても解決に至らないことが多いです。

大切なことは、本質(解決したいこと)を伝えること。
これを伝えると、設計者はこの問題を解決するように検討を始めます。

具体的に、6畳の個室2つと、6畳の寝室、16帖のLDK、納戸4.5畳に・・・と、言われますと、各部屋の切り抜きを作って組み合わせるパズルになりますよね?
この要望をすると、設計者は設計意欲を無くしてしまいます。

それなら、設計者でなくとも営業の方でも出来ますし、貴方でも出来るかも知れませんよね。
そんな貼り合わせの住まいでも良いのでしょうか。

要望書の本当の伝え方

今までの内容は理解し難かったかも知れません。
これから具体的なお話をしてゆきます。

何を実現してほしいのか

要望内容例
1. 窓は1室に2か所ほしい
2. 6畳の個室が2つほしい
3. 広い玄関がほしい
4. 広い洗面所が欲しい
5. トイレに開けられる窓が欲しい
その他

こんな感じの要望内容でしょう?
これは、すべて自分で出した結論です。

では本質を確認します。

1つ目の、窓は1室に2か所ほしい ですね。

その理由は何でしょう?
1部屋に2つの開口部があれば換気できるからですか?
明るさの確保ですか?
ドアはいつも閉めているのですか?

回答によって設計側からの提案は変わります。

換気が理由であれば家の中を風が通り抜ける計画をします。
明るさの確保であれば1か所で確保できる方法を考えます。
基本的にドアを開けている計画ならば、家全体を暖房することができます。

2つ目の「6畳の個室が2つほしい」ですね。

その理由は何でしょう?
子供部屋は6畳位の広さで、2人いるから2室ですか?
初めから個室が必要ですか(必要な年齢ですか)?
子供部屋ではベッドの他、勉強もそこでしますか?
そもそも子供部屋は必要ですか?

やはり回答次第で提案は変わります。

小さい子供に個室が必要か。 ベッドしか置かないのであれば広さはどうか。
勉強するスペースをパブリックなスペースではどうだろうか。
はじめはオープンスペースにしておいて、必要になった時にパーテイションを
設置するのはどうか? 等々

3つ目の「広い玄関」も同様です。

広い玄関とはどれくらいの広さなのか?
その玄関の広さは何に使うのか?
その玄関の為に室内空間が狭くなっても良いか?

広い玄関をご希望する理由は、玄関は家の顔だからというお答えがありました。
しかし、玄関が広すぎて暗くて寒いのでリフォームしたいという住まい手さんも沢山おられました。

広い玄関を否定しているのではなく、例えばベビーカーを置くスペースとか、車いすを置くスペースとかの理由があれば、それに対応する提案ができます。ただ広くすることが問題の解決につながらないことがあるのです。

しつこくなりそうですのでこの辺りで止めますが、問題や本質を伝えて頂ければ設計者はその沢山ある経験から最良の提案ができる訳です。

設計者がこれを理解してプランを構成する。これが大切。

●6帖2室という要望などの結論だけ伝えると、設計者は考えなくなってしまう。
だって、提案しない方が楽だから。
しかし、本当に暮らしやすい家は出来上がらない。

●この方法で提案を求めれば、設計者の技量が分かる。
具体的に言わないで、住みたい想いをのみを伝えてプランをすることは、
どれ位注文者の想いを汲みとって、住みやすいプランを考えられるか、設計者の経験と技術が求められる。

●設計者は子供を育てているか、家事をやっているか、料理を知っているか、
そして、家族の暮らし方を知っているかが分かる。
デザインが好いのは良いが、暮らし難い家は困るのは貴方です。

そういう意味では注文者側から考えると、設計者の知識と経験を同じ設計料で最良の提案を求める方法になります。

現場でも例はあります。

設計図書に使用する材料指定と制作の指定があるとします。

Aという会社は、書かれたまま購入して制作し取り付ける施工会社
Bという会社は、理由を確認して、それなら自社の倉庫に乾燥した良材(造作材)があるが良いなら使ってほしい。
※うちでは指定の無いものを除いてメーカー既製品は使わず、その殆どが無垢材又は制作によるものです。
工務店さんの自社倉庫に乾燥した良材を持っている事が多いので。

住まい手:良いものを使えて得
施工会社:新たに材料を購入しなくてよい
設計者:良いものが造れた
3者がwin-win-win

また、設計図の内容のこだわり度合いもあります。
施工会社は設計図しか判断するものがありません。
そこに書かれているものすべが必要になるわけですが、実際にはこだわっているものとこだわっていないものがありますよね。

現場で聞いてくれれば材料の調整も可能なのです。
この材料を変更して安くすることで、ちょっとした変更も無料でしてもらうる訳です。
私は現場で相談があればこだわっている度合いを説明して、提案を求める事も行います。
住まい手さんにとっても実はお得なこともあるのです。

プランを依頼する前に伝えておく大切な事

要望内容は今だけの事を考えない

〇家の寿命は100年近い耐久性がある

〇あと20数年で住む人は夫婦2人になる

人の平均寿命から考えれば、子供達と一緒に生活する期間より、夫婦2人で暮らす時間の方が長い。
そして、子供部屋は倉庫になる。そんな状態をたくさん見てきました。

その為に私の設計では、子供達が出て行った後の空間をどう使うかで間取りを計画する事が多いのです。

〇広さを要望の第1番目に希望する人

この希望される方は一定数おられますが、ご自身はその必要な空間が予算では出来ない事を理解されていない事が多いと思います。

プランを依頼されてから必要な部屋がどんどん出て来るのも特徴です。でも予算は増えないんです。

大きな家はお金が掛かります。 また、お話しました様に夫婦2人になった時、空き部屋ばかりが出来てしまうのをどの様にされるのかも考えましょう。

内部イメージを伝えておく

要望書の段階で、内部のイメージは下にある例程度は伝えておきましょう。
プラン段階でイメージしやすいと思います。
モノトーン
ナチュラル
エレガント 等

外観イメージを伝えておく

〇奈の町の場合は大方が同一感で統一しているので、あまり聞かないですが、違うようでしたら
先にお話を聞かせて頂けると有り難いですね。
〇素材選びに影響するので当初に伝えて頂けると、仕様を選ぶ際に探し易くて助かります。
〇洋風とか和風、和モダン等でも良いので大まかな外部イメージがあるとイメージしやすいです。

結論

やって欲しい事ではなく、何を解決したいのかを伝える事が大切。
6畳3室が欲しい、広い玄関はパズルを依頼すること。

どの様に暮らしたいのかを伝える事で、設計者に暮らしの提案を求めましょう。

30歳前後のご夫婦で子供さんが小さいケースでは、後20数年後には夫婦2人に
 なります。 そして、その期間の方が長いのです。
その時にどんな事をするか、想像してみましょう。

広さ第1の方は、ローコスト住宅の建築会社へ行かれるのがお勧めです。
設計等に掛かる費用は建築へ廻しましょう。

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