秋篠寺

秋篠寺

■ 所在地 奈良県奈良市秋篠町757
■ 本尊 薬師如来像(重文)
■ 創建年 宝亀11年(780年)
■ 開基 善珠大徳(光仁天皇発願)
■ 電話番号    0742-45-4600
■ 拝観料 500円
■ 拝観時間 9:30~16:30
■ 駐車場 有(無料)

平城宮跡の北西にある秋篠町、その一角に秋篠寺はあります。

すぐ隣には競輪場があると聞きましたが、ここを訪れてみると そんなイメージとはかけ離れた、静かな森のお寺がありました。

 

駐車場から近い東門から入るとそこに静かな空間が広がります。



左手に小さな門に囲まれた塀の空間があります。
入り口には「清浄香水」と「味如甘露」と書かれている礎石が ありました。



ここは【香水閣】という井戸で、この井戸には今も清らかな水が たたえられていると聞きます。 かつて真言宗では国家鎮護のために宮中で、大元帥御修法という 儀式が行われていて、その儀式には必ず秋篠寺の井戸から汲まれた 水を使うとされています。
これは東大寺のお水取りにも共通している聖水の行事が今も 脈々と続けられているのです。

秋篠寺は奈良時代の末、宝亀11年(780)、光仁天皇の発願によって 善珠大徳という興福寺の僧が開いたと言われています。

光仁天皇から桓武天皇に渡り秋篠寺の造営は続けられ、伽藍が 完成したのは延暦13年(794)、平安遷都の頃だったらしい。

創建当初の秋篠寺には東西二つの塔を持ち、金堂など数多くの 建物を持つ大きな寺だったそうだが、保延元年(1135年)の大火で その殆どすべてを焼失してしまいました。

その中で講堂の一部が焼け残り、修繕されたものが現在の本堂と なっています。 また、東塔の礎石は今も残っています。
当時金堂であった場所は現在雑木林となっており、その中に群生 している苔がまた有名だとのこと。



ここの雑木林を抜ける道は本堂への参道となっており、凛とする 雰囲気を持ちながら非常に美しい空間を織りなしています。

雑木林を抜けた所に、右手正面に本堂、左手に大元堂があります。

大元堂



本堂は創建当時は講堂であったものと前記しましたが、鎌倉時代に 大修理を行いそれ以降金堂と呼ばれています。

当時の古材を使われていると聞き及びますが、鎌倉時代の建物と いえます。

本堂



建物様式は奈良時代の建築様式を色濃く受けた、桁行5間、梁間4間 の平屋建て瓦葺き寄棟造り。

桁行き17.45m、梁間12.12m、軒高3.78m、軒の出2.29m
正面の五間すべてに連子格子があり、両サイドは窓、中央三か所 は格子戸が入っている。柱間は端部が狭く、中央が広くなっており これは建物を大きく見せる効果です。

本堂中央の連子格子


軒の出2.29m(地垂木・飛えん垂木とも角木)



側面(梁間)側より本堂に入ります。

本堂内には床を張られておらず、土間となっています。 正面中央に本尊の薬師三尊像、その両脇を地蔵菩薩、帝釈天、伎芸天、 そして可愛らしい(サイズ的に)十二神将が並んでいます。

他のお寺と大きく異なるのは、この秋篠寺では仏像との間に 柵などという垣根がなく、ホンのそばまで近づき間近で 見ることができます。

特に左端に立つ伎芸天は有名で、写真で見るよりずっとやさしい まなざしで、見る者の心を癒してくれます。
少し腰をひねり、にっこり微笑む伎芸天を真近に見ると、何か私に 優しい声をかけて頂いている、そんな感じがします。 写真で見るより、実際に下から見る方が優しさが感じられます。
実はこの伎芸天、頭部と体部の制作時期が異なる(頭部は脱活乾漆造り、 首から下は寄木造り)のですが、そんなことは全く感じさせない一体感 のある美しさが感じられます。

ぜひ会いに行ってください。 優しい気持ちになること間違いありませんよ。

秋篠寺の特徴はもう一つあります。 本堂内にはベンチがあり、ゆっくりと座って鑑賞できるようになって いるのです。
実際お堂内にベンチを置いて観ることのできるお寺も また珍しく、参詣者に優しい配慮が人気の一つなのでしょう。

きれいに整備されたお寺で、気持ち良い時間を過ごして下さい。

紅葉の一枚



‘08.11/26

タグ :伎芸天 大元帥明王 帝釈天 梵天 地蔵菩薩

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