北円堂(H21春国宝特別開扉)
凄く楽しみにしていた北円堂の開扉中にお邪魔してきました。
お天気は曇りがちでしたが、気持ちはワクワク(かなり変か?)
連休最終日の朝方伺いましたが、思いのほか人が少なくて安心しました。
真正面に立って、御挨拶の後、ずっと一体一体見つめていました。
一周回ってまた戻って・・・
私は無言でそのリアルさに感動。
その質感、曲線、バランスに感心。
私の横で親御さんに連れられてきた子供さんが、
「こわいー」と泣くシーンもありました。
その原因は…弥勒如来さんの後ろから、じーっと見つめるお坊さんがお二人
いる訳で、実際暗闇で見ると大人でも怖い。
「泣く子も黙る」という言葉がありますが、
「見る子が泣く」という現場を体験しました。
当にそのリアルさが日本彫刻の最高峰と言われる所以。
北円堂は創建時、単に【円堂】と呼ばれていましたが、平安時代初めに
この南側へ新しく円堂が建てられたので、古く建てられていたこの円堂を
北円堂と呼ぶようになったそうです。
建物の一辺は約5m、内部の床は45cm角(正方形ではない)の大谷石(と思う)
が敷かれていました。
内陣は同じく八角で、60cm程のヒノキの柱が八本立っています。
内陣の天蓋(天井)は、明るく花が咲いたようなデザインがされ、床は1m程
上げられて、ヒノキが貼られていました。
扉は内開きで三か所、高さ3m程で、幅60cm厚さ10cm程のヒノキの一枚板を
継いでいます。
外陣上部は、外周部の建物柱と内陣の柱の頂部で繋がれています。
外周部の連子格子は隙間がなく、内部側に板戸が付いているので、通気は
ほとんど無いと言える。
連子格子の横縦比は、1:1.5程のバランス。
正面中央に弥勒如来座像、向かって右手に無著立像、左手に世親立像が。
手前には左右に法苑林・大妙相菩薩半跏像、内陣四方には四天王像が
立っています。
弥勒如来は優美で丸いお顔をされています。
右手から見ると少しふくよかで、左から見るとスッとしているように
光の加減かそのように見えました。
腕の肉感や背中の丸みなど、運慶工房の集大成が感じられます。
〈国宝 鎌倉時代 桂材寄木造り〉
無著・世親立像は、表題でのご説明通り。
〈国宝 鎌倉時代 桂材寄木造り〉
法苑林・大妙相菩薩半跏像は、後世室町期に作られたもので堂内で
一番金色に光り輝いています。
妙に新しさが感じられてしまいます。
〈室町時代 ヒノキ材 寄木造り〉
四天王は、ぎょろめの雰囲気がなんとも言えない感じを受けました。
この像は大安寺の四天王であったとされています。
〈国宝 平安時代 木芯乾漆造〉
‘09.05