東大寺戒壇院
■ 所在地 奈良県奈良市雑司町406-1 東大寺内
■ 拝観料 大人500円
■ 駐車場 有
■ 安置仏 釈迦仏、多宝仏、四天王
■ 由来
時代は奈良時代。
今からざっと1280年の昔・・・
話は”天平の甍”で有名な鑑真和上に関わります。
戒壇院は当時中国における戒律の第一人者、唐の鑑真和上が
日本へ渡り、大仏殿の前で戒壇を築いた年、考謙天皇の宣旨
により造営されました。
当時は金堂、講堂、廻廊、僧房などがあったが三度の火災に
より焼失。
現在の戒壇堂は1732年に建立されたもの。
敷地内には戒壇堂が一棟あり、堂内には一段上(須弥壇)の
東西南北に四天王および中央に多宝塔があります。
■ 見どころ
依水園から北へ真直ぐ行歩くと、正面に石段が見えてきます。
ちょうどこの階段を上ると真正面に東大寺戒壇院があります。
行き届いた門前もこの景観に一役買っているよう。
入口戒壇院の門の屋根には、鬼がわらの横に可愛らしい
獅子が愛嬌のある顔で出迎えてくれてます。
戒壇堂への通路はきれいに整備され、庭は波を感じさせる
砂利が美しく整えられています。
建物内部へはいるといきなり真正面に多宝塔が目に入り、
その左右に四天王が立っています。
カッと目を開き、口から火を噴きそうな増長天。
厳しく眉間にしわを作り、睨みを利かせている広目天。
内から溢れんばかりの気合いをその顔に秘めた多門天。
遠くを見つめ、いつでも来いと言わんばかりの持国天。
それぞれが邪鬼を踏みつけているその姿は、力強さと
美しさのバランスが絶妙に調和されています。
何よりその自然な等身に心を奪われます。
(体の厚み、奥行き感が本当に美しい)
今までたくさんの四天王を見てきましたが、これほど
躍動感のある像を見たのは初めて。
今にも動き出しそうなリアル感は怖いほど。
有名な奈良県の写真家、入江泰吉氏がこの広目天を
みて仏像写真に目覚めたと聞きましたが、その表情や
気迫は他に例を見ないほど鬼気迫るものがあります。
私は各像の前でその美しさに見惚れてしまい、じっと
固まっていました。
この四天王は、1200年以上昔に土で作られたものである
こと自体、凄いことな訳で、何時崩壊しても不思議では
ないのです。
(新薬師寺の十二神将も塑像で同時代のもの)
当時は現在とは異なり、極彩色に彩られていたといいます。
中央の多宝塔内部には、鑑真和上自身が唐より持って
来られたという釈迦仏と多宝仏が安置されています。
(この二体はレプリカ)
made in japan ではなく、1200年以上昔の唐製である
ことを考えれば・・・時の流れを感じますね。
‘08.10/29
※塑像:像の芯を木で造り、縄を巻きつけてから土で肉付けして
つくられたもの