前回は、上棟までお話ししました。
今回は、耐震性を確保するための金物検査についてお話ししたいと思います。
上棟を終えると、建物フレームを固定するためにすることがあります。
まず一つ目は、外壁を固める事。
木軸だけで建っていることが難しいことはどなたでも分かりますよね。
そこで、外壁面に耐力壁を張る事で水平面に対抗する面(壁)を確保します。
一般に垂直構面と言うのですが、両サイドの柱と土台、そして梁の4方向を
面材を打ち付けて固定します。 1階ですと土台と2階の床梁、そして柱の4面です。
また2階でしたら柱2カ所と上下の梁にあたります。
この四方の構造材に止め付けることが大切です。
土台に取り付いていないような三方では耐力面材にはなりません。
二つ目は構造金物を取り付ける事。
外部周りがある程度固まったとしても計算するとやはり壁量が不足することが
多くあります。
そうそう、説明不足でした。
木造住宅の耐震性は、各方向の壁の量(長さ)で持たせることが基本です。
横揺れを壁で支えるという考え方なのです。(配置のバランスもあります)
で、話を戻しますが、正方形のような建物ですと、外壁周りの垂直面材だけで
ほぼ必要耐力を確保できるケースがあったりしますが、今回はなかなかで…
構造計算しますと、かなりのカ所に筋交いが必要になります。
と同時に筋交いなどの固めた柱の上下に圧縮や引っ張りが生じます。
そしてその力に耐えうる金物を取り付ける必要があるのです。
強力なものとしてホールダウン金物などがそれに当たります。
両サイドの壁が耐力壁で、正面に×で取り付けられているのが筋交いです。
筋交いの端部には耐力数値に見合う筋交い金物が取り付けられます。
中央柱の様子
大きな引っ張り力や圧縮力が掛る柱には、それに見合う金物が取り付けられます。
下の部分は少し切れていますが、上部には大きな平たい金物が2枚ついているのが見えますでしょうか。
これは ホールダウン金物と言い、引き抜きの力で柱や土台・梁が外れないように引っ張る
為の金物です。 この写真は柱と二階の床梁が外れない様に取り付けています。
もちろん筋交いの金物とは別のもので、場所によっては様々な金物が集中する場合もありますし、
取り付けに苦労する場合もあります。
奈の町の建物は、許容応力度計算を行う事から全般に金物が大変多くなっていようです。
計算基準は、許容応力と耐震等級2を確保しています。
そのホールダウン金物をもう少しアップしてみます。
如何でしょう、分かりますでしょうか。
金物検査で他の部分で確認する項目としては、梁どうしを緊結している羽子板ボルトの
出代のチェックがあります。一般に三山以上と言われています。
ボルトを締めるナットの端部からボルトの溝がどれくらい出ているかというチェックです。
これ、どの現場も結構あるんですよ。
今回、写真はありませんが、羽子板ボルトのボルト頭の出を一つ一つ確認して、
その場で締め直して頂きます。 ボルトの頭が出ていない場合、元々のボルト長さが
短いケースもありますのでその場合はボルトを変えて頂きます。
梁を緊結する羽子板ボルトについてですが、ボルトが外壁面に取り付く場合に
耐力面材との間に現場発泡ウレタンを充填して頂いてます。
金属部分が熱橋になりますので。
現場の写真
どの場所なのか分かり難いかもしれませんね。
梁の中央部辺りに見える、白く丸い部分です。
2階部分の様子もあります。
ちなみに私の立っている場所は、2階テラスです。(笑)
床は構造用合板厚28が水平構面として敷き詰められています。
ちなみにこの床に貼られた構造用合板、水平構面と言われる通り水平面(床)の剛性を
高めるために造られます。 以前は根太を敷いていましたが、現在はすべてこの形態で
構造耐力を期待できない根太敷きの床は奈の町では無くなりました。
最後に、外壁の開口部にアルミサッシが入っていました。
写真のものは、LIXILのサーモスXというシリーズで、ハイブリッドサッシとしては
樹脂サッシを超える超高性能を誇ります。
これは木製サッシの使えない部分に使わせて頂きました。
もちろん、この住まいには全開口の木製建具も使われていますよ。
また順を追ってご紹介します。
浅野/奈の町