道路上高台に建つシンプル・ナチュラルな家
杭工事に掛かる当日は2月の寒い日ではありましたが、
当日はお天気も良く、風邪の少ない日でしたので、
とっても気持ちよく監理が出来ます。
敷地はこのテーマでもありますとおり、道路より2M上がって
います。 設計では、この地盤を50cm削り取り、+1m50cmの
高低差で計画しています。
クローラー(杭の重機)はとっても背が高く、重心が高いので
敷地の上まで上がってこれるかが心配でしたが、工務店さんが
その為のスロープを作ってくれたことで、私が現地に着いた際は
既に上に登って準備中でした。
ピンクのリボンが刺さっているところが、改良杭を打設する
場所に当たります。
そこにめがけてヘッドを置いて回転します。
なんか、ヘッドの形が面白くありませんか?
今回の杭の深さは、1.75mから6mの深さまで高低差があります。
元々の支持地盤がそのようになっていたもので、深い所に合わせた
長さのロッドを持った重機がやってきています。
ロッド(銀色の長い棒)を回転させながら地中深く掘ってゆく
わけですが、深い所ではこのロッドの大半は地中へ沈んでしまいます。
このロッドの直径は50cmですので、出来上がると50cm径のコンク
リート柱のこのロッド長さ分が地中に立っていることになります。
6M近くと言う事は、2階建て住宅の高さ分そのまま地下にある様な
イメージですね。
なぜこんな深くへ打たないといけないのか?
それはズバリ、そのままの地盤はとっても軟弱だから。
大抵の土地を地盤調査をすれば、表層1M程度まではフワフワ(地耐力的
に表現すると)な状態なのです。
昔は田んぼを潰して家を建てる際は、1.5m程度まで掘って締め固めた
ものだそう。
近年になって地盤調査をするようになりましたが、昔はそのまま建てて
いた訳ですから、時間と共に地面が締り沈下するのは当然なのでしょう。
古民家などを見せて頂くと、柱が1本1本ずれて沈下しています。
少し古い建物だと外壁に大きな斜めのクラックが入っていたり、
基礎が割れていたりしている住宅も原因がそれだったりしますね。
さて、ロッドが沈みました。
先の写真で、頂部にあったモーターのような部分が、目の前まで
下がってきているのが分かりますでしょうか。
計画深さの最深部まで下がると、ロッドの先端部から混和剤が
ポンプから圧送されて出てきます。
掘削した土と混和剤が攪拌されて、硬化するとコンクリートの柱に
なる訳です。
上部まで攪拌されたペーストが溢れてきている様子。
ここで、検査用のピースをつくるために材料を採取しています。
混和剤(セメントペーストみたいなもの)の混合比は、300kg/m3
で指定しています。
柱状改良が完了した様子
この後、レベル機にてそれぞれの杭高さに合わせて、天端を
フラットに整えて完了です。
工事が全て終了すると、地面の上に丸い輪が点々と地面に
着いてる感じでしょうか。
今回は合計27本打設予定です。
さて、先程採取いたしました材料で、試験用のピースを
作成します。
今回は12ピースが造られたようですね。
このピースは1週間後、4週間後に破壊検査を行い、指定の
強度確保されているかの試験に使われます。
以上が今回の監理でした。
浅野勝義/奈の町