音楽室のある家が完成しましたところ、住まい手さんから
『浅野さん、是非、音を聴きに来て下さい。』 と
嬉しいご招待を受けまして、早速夫婦でお邪魔してきました。
(嬉しいです、これが何より建築家をやっている私の楽しみです)
設計したのは自分なのですが、どの様な音がするかは
正直なところ私の理解の域を超えています。
中にセッティングする機材は、一つ一つがビックリするほどの
ハイエンド機ばかり。
それらの機材がどの様に融合し、どんな音を聴かせてくれるのか。
自分の耳で聞くまで不安はありました。
その音を聴くまで・・・
その音は、自分達が普段聞いているCDの中に入っている音とは
全く異なる世界で、情報に溢れていることを改めて知らされ
ました。
大型のスピーカーから鳴る音は、重低音から中広域へ伸びる音
全てが悠然と流れていて、それでいてスピーカーが鳴っている
という実感がないもの。
以前、2階で聞かせていただいた音は、「迫力のある綺麗な音」
と感じましたが、聴きこむと、スピーカら音が出ている音で、
部屋が共振していることを感じさせました。
そのとき、住まい手さんの音にかける限界を感じ取り、私が減築して
新しく音楽室を造ることを提案しました。
そして完成したこの音楽室での音は、
音と音の間にある『無音』を身体で感じ、スピーカーからでている
音を聴いているのではないことに気づきます。
そう、音を身体で感じているのです。
普段の生活の中で「無音」という環境は、実はそう多くないもの。
音が消えてゆく瞬間、なにも音のしないところから湧き出す楽器音。
黒が濃いほど美しい画面があるように、無音が無音であるほど
音の粒はより鮮明になるのです。
限りなくピュアで、奥行き感のあるそのサウンドは、機材それぞれ
が良いことは当然ではありますが、そのポテンシャルをのこの空間
がしっかりと余裕を持って受け止めて、鳴らしてくれています。
難しいことを書いているようですが、聴けば分かります。
全く違います。
同伴した嫁が、「音を聴いて感動したのは初めて」と感動しきり。
インストール(業界ではセッティングする専門業者のことらしい)
した大阪日本橋のホームシアター有名店の担当者が絶賛していた
というのも頷けました。
実はまだまだ音は時間と共に進化するらしい。
今回、建築でおこなった内容はこんなにありました。
【マイ柱設置による安定電源】
【防音室】、
【高気密高断熱化】、
【石井式リスニングルーム理論】
【ダイレクト電源ケーブル】、
【カリン張り】
【建物の構造強度】
etc・・・
その全てが上手く噛み合ったのでしょう。
住まい手御夫婦は、時間の許す限り音楽室の音に浸っているようで、
私はその至福の笑みを頂きました。
こんな仕事に出会えた、
私と住まい手さんのご縁に心から感謝しています。
ラックの中に収められているAV用機材、左側の機材はピュアオーディオ用。
PS
また今度、リフォーム部分もご紹介いたします。
お楽しみに。