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中古住宅を買って、リフォームする際の注意点5選

中古住宅を買ってリフォーム

もう忘れてしまったかもしれませんが、
前回は、すでに中古住宅を購入された方に向けて、リノベーション会社を選ぶ際のポイントをお伝え致しました。

前回の話 リノベーション会社の選び方

依頼する会社は色々あり、工事予算や要望内容によって依頼する業者も変わることをお話ししました。相談する業者によって結果は大きく変わります。

今回はそれを実践した場合をお話しします。

中古住宅を購入された方へ

古い住宅は新築住宅と比べて、多くの異なる部分があります。それが原因で価格が比較的安くなる一方、快適な生活を送るためには、購入後、入居前に一定の改修が必要となります。

しかし、改修には当然ながら費用が発生します。
水回りも綺麗にしたいし、使い勝っても変えたいし。
リノベーション費用はどれだけあっても足りない感じがします。

私が提案するリノベーションの設計は、暮らしやすさを重視しています。しかし、それよりも先に、必ず行うべき改修点をご紹介したいと思います。
それは、家の長寿命化に直結するからです。

それでは、具体的な改修点をご説明しましょう。

私が特に重視するポイントは次の5つです。

  1. 断熱性の向上
  2. 気密性の向上
  3. 2階ベランダ・テラスの雨漏り対策
  4. 雨漏りの改修
  5. 構造の問題

まずはこれらの点を改修、または向上させることをお勧めします。

目次

1.断熱性を上げる

まず、目的を明確にするために先に説明しましょう。
断熱性を向上させるためには、単に高性能の断熱材を設置するだけが解決策ではありません。別の重要な要素が存在します。

それは、「空気の移動を制限する」ことです。簡単な例ですと、”隙間風”ですね。
なぜなら、空気は熱を伴って移動する性質があるからです。そのため、この空気の自由な移動を抑制することが重要となります。これが「気密性」と呼ばれるものです。

●床

古い家は、床が直接地面に接しているため、床下を通る冷気が室内を冷やす一因となります。この問題を解決するための効果的な手段があります。

  1. まず、床下の隙間を閉じ、間仕切りから冷気が上がってくるのを防ぎます。
  2. 次に、高性能な断熱材で床下全体を覆い尽くします。

これらの対策で、床下が冷えるのを抑制し、室内の快適性が大幅に向上します。

床下の断熱材については、新たに設定された断熱等級5(ZEH水準)に適合するものとして、グラスウール高性能24K105mmが推奨されています。

●外壁の断熱

a) 外断熱:外断熱工法は、外壁の外側から断熱材で包む方法です。柱やその間にある壁全体を覆います。特に土壁で構築された外壁の場合、壁内部に断熱材を入れることが難しいため、この外断熱工法が効果的です。施工も比較的容易なため、お勧めの方法です。

b) 内断熱:内断熱は、外壁の壁内に断熱材を充填する方法です。しかし、土壁の場合、断熱材を入れるための空間が存在しないため、室内側に断熱材を設置します。その結果、壁が内側に向かって突き出る形となります(断熱等級4では高性能グラスウールで84mm、断熱等級5では高性能グラスウールで105mm)。ただし、新設の壁や閉鎖した開口部については、断熱材が壁内に収まります。

●屋根・天井の断熱

屋根や天井に断熱材が設置されていない住宅は意外と多いです。

適切な厚さの断熱材を新たに敷き込むことにより、室温を快適な状態に保つことが可能となります。なお、昨年(2022年4月)に設定された断熱等級5(ZEH水準)に適合する断熱材としては、グラスウール高性能14K155mmが推奨されています。

●開口部の改修について

サッシの断熱性能は非常に重要で、可能な限り高性能なサッシに交換することを強くお勧めします。ただし、既存のサッシを交換する際には、それなりの費用が発生します。サッシ周辺の外壁部分を一部切り取り、サッシを取り外した後、外部と内部の補修が必要となります。

冬場、ストーブなど室内で作られた熱の大部分は、ガラス部分を通じて外に逃げてしまいます。そのガラス部分を高断熱ガラスに交換することにより、冬季の寒さ対策に効果的で、費用対効果が大きく上昇します。特に古いサッシの場合は、交換が最適な選択です。

また、小さな窓については、インナーサッシを設置することも有効です。ただし、頻繁に出入りをする場所では、2枚建てのサッシを開け閉めする必要があり、少々面倒かもしれません。

2.隙間を閉じる(気密性能の向上)

●屋根裏は隙間の宝庫

屋根裏は蜂の巣ができたり猫が出入りできるほど隙間が多い部分です。また、室内で温められた空気が高い屋根裏から外に抜けてしまい、室内の空気が冷えてしまう現象があります。これを防ぐため、気密性を向上させる目的で、屋根裏の外壁面にある隙間を埋める工事を検討しましょう。

●壁や窓の隙間

特に古民家に多く見られます。
建物が傾いていると柱の上下に隙間が生じ、その隙間から外の風景が見えることもあります。これらの隙間を無くすためには、建物の傾斜を修正し、冷気の侵入を防ぐことが重要です。
しかし、柱の歪み(傾斜)や沈下を本格的に補修すると、既存の建具や外壁も修理する必要が出てきます。

●床下から間仕切りの中を通って入る冷気

冬場、室内のコンセントから冷たい風が吹き出ていることを体感したことはありませんか

これは、床下で冷やされた冷気が間仕切りの下部から侵入し、この冷気が間仕切り壁の中を上昇、コンセントなどの隙間から吹き出しているものです。
対策としては、間仕切りの床に接する部分に気流止めを設置し、冷気の侵入を防ぐことが有効です。これは、実は多くの人が行っていない対策です。

3. 2階のベランダ・テラス

●家の傷みの大きな原因

2階のベランダ・テラスは、改修時に解体すると大抵雨漏りにより階下が損傷していることが見られます。羽子板ボルトのボルトは錆びて緩み、内壁や断熱材がカビが生えたり落下してしまっていることが多いです。

本来、露出した2階ベランダやテラスに施されている防水は、紫外線や風雨にさらされ、長期間にわたって保持するものではありません。10年以上経過していれば、防水の再施工が必要と考えるべきです。

●軒・庇を伸ばすか雨よけの屋根を架ける

直射日光と雨風にさらされるベランダやテラスは防水が難しいので、軒や庇を伸ばす、または雨よけの屋根を設置することで、直接雨が降り注ぐことや直射日光の影響を軽減することが可能です。

私は2階のバルコニーやテラスを設ける際は、必ずFRP防水を施し、水抜き穴と屋根または深い庇を設けるようにしています。

●増築は構造まで考えた検討が必要

ベランダ・テラスを増築する場合は、階下の梁の補強、建物全体のバランス、屋根や壁の接続部からの雨漏り等、建物構造全体を考慮したプランニングが必要です。

施工が適切でないと、そこからも雨漏りを引き起こす可能性があるため、増築は慎重に行うべきです。

●下屋根にして洗濯物干場を屋内につくる

ベランダやテラスに新たに下屋根を設けることで、洗濯物を屋根下で干せる場所を作ることができます。これにより、雨天時でも洗濯物が干せるとともに、雨漏りの心配も解消されます。

4.雨漏りの改修

●過去何度も雨漏りの補修をしている家は、雨漏りが常習化している家

何度も雨漏りが発生する家は、その根本的な問題が解決されていない可能性が高いです。

そのような場合、専門家に依頼して原因を調査し、根本的な雨漏りを防止するための対策を取りましょう。
一時的な応急処置は、あくまで業者の営業活動に過ぎません。コーキングを大量に塗りつけて雨水を防ぐような短期的な対策を推奨する業者は避けるべきです。

●屋根の葺き替えも視野に入れる

屋根材が劣化している場合、この機会に葺き替えを検討することをお勧めします。費用はかかりますが、新しい屋根材は耐久性が高く、雨漏り対策にも効果的です。ただし、大きな古民家などでは、屋根の葺き替えだけで数百万円の費用がかかることもあります。必ず見積もりを取って確認しましょう。

●漏水場所の原因は、雨漏り部分の上部ではないことがある

雨漏りの原因は、必ずしも漏水部分の真上ではないことがあります。特に風の強い場所に建つ家では、外壁に当たった雨水が壁を伝って上昇し、軒下や屋根の上部隙間から室内に入ることがあります。

●屋根の上に乗っているものは降ろす方がいい

古くなり使われていない太陽熱温水器などは屋根の上にありませんか?
放置すると、屋根を傷め、雨漏りを引き起こすだけでなく、落下による事故を引き起こす可能性もあります。使われていない温水器は、このタイミングで撤去しましょう。撤去の機会を逸すると、後々、トラブルの原因となる可能性があります。

5.構造の問題

建物の耐震性を向上させる改修を検討しましょう。

●間取りの変更や柱の撤去は勝手にしない

DIYによる間取りの変更や、柱が邪魔だと感じての無計画な撤去は避けるべきです。
その柱がどのような力を受けているのかをしっかり確認し、撤去しても問題ないか、また補強が必要かどうかを判断する必要があります。

壁や柱を撤去することで耐震性が大きく低下するため、必ず補強や変更後の構造計画を同時に考慮しましょう。このような判断は専門家と相談した上で行ってください。

●既存部分の安全性や耐震性はあるかどうか

古い家はほとんど確実に耐震性が低いです。
耐震診断を実施すれば、木造2階建ての家のほとんどが評点0.5以下となるでしょう。安全な耐震性を確保するための評点1.0にはまだ達していません。

リフォーム前に建物の耐震性を確認し、必要なら耐震補強工事を行うことを推奨します。

●2000年より前の木造住宅は、基本的に耐震補強が必要

一般的には、1981年5月までの建築物(旧耐震)は耐震補強が必要と言われていますが、私はその基準年を2000年と見ています。

2000年以前に建てられた木造建物は現行の法規制以前のものであり、基本的には耐震補強が必要となるでしょう。古い建物であれば、木造の平屋を除いてほとんど確実に耐震補強が必要です。

専門家と相談し、適切な耐震補強工事を行うことを推奨します。

●大きな地震が来た際、倒壊してしまうと住む場所を失う事を知る

地震が発生したときに建物が倒壊すると、自分たちの住む場所を失ってしまいます。大切な家が一瞬で廃墟と化し、命からがら逃げ出し一時的に避難所に行くとしても、帰るべき家はもうありません。

設計の際に耐震性を高めることを話すと、大きな地震まで耐えられれば良いという考えになりがちですが、倒壊せずに耐えてくれれば、少しの改修で再び住むことができるという点を理解する必要があります。

地震が起きたときにわかる、費用対効果が分かりにくい改修予算ですが、大きな地震があった後、倒壊せずにしっかり立っている自宅を見るとその価値がわかります。
個人的には生命保険よりも現実的だと思います。

まとめ

中古住宅を購入しリノベーションを行う場合、既存の建物の劣化具合や痛みが今後の安全性や快適さに大いに関わるため、これらを正確に評価することが重要です。

今回、私は特に重要だと思われる5つの点を提案しましたが、もちろん他にも基礎や床下の状態、シロアリの存在、水回りの土台の劣化など、チェックすべき項目は多数あります。
しかし、これらすべてを修復するとなると、床周りを大部分解体してから工事を行う必要があり、コストがかかります。

そのため、具体的な改修ポイントを絞ることが重要です。
古い住宅の耐久性は、建設時の施工会社の考え方や技術により、また、以前の住人のメンテナンス状況により大きく変わります。

例えば、現在私がリノベーションを行っている築35年の住宅は、かなりのこだわりを持って建てられたもので、それが調査結果から明らかになりました。
また、この家では雨漏りが長年の問題であり、改修工事の記録からほぼ毎年修繕が必要だったことも分かりました。
さらに、耐震性は予想通り、評点が0.5を割り、耐震補強が必要でした。

一方で、水回りの土台等の傷みはほぼなく、床下は乾燥しており、基礎も健全でした。
床に一部下降が見られましたが、シロアリ被害はありませんでした。

このように、リノベーションによって大きく変わる住まいでも、長年の問題である雨漏り対策は今回、必ず根本からの修繕が必要です。

業者選びにあたっては、建物の状態を調査・理解せずに予算に合わせた見積もりを出すような業者ではなく、建物をしっかり調査し、必要な部分をピンポイントで修繕し、予算を快適な空間作りに活用できる業者を選ぶことが重要です。

もし、お悩みある中古住宅を購入されたのであれば、個別相談お受けしています。
下の住宅相談ページからどうぞ。

浅野勝義/奈の町

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