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不動産物件購入までの実例9選をご紹介します。
私が設計者として沢山の方の土地探しから関わらせて頂きました。
その買主(住まい手さん)には様々なストーリーがありました。
今回はこの一部をご紹介したいと思います。
実際に購入された方の話ですので、これから購入される方にはとても参考になるとおもいます。
youtube
2003年から既に始めていた買い手の為の専門家(エージェント)
私は住まいを建てるために土地から調査を含めてお手伝いしていました。
以前は宅建免許が無いので建築士として調査等をしていた訳ですが、それ自体は、
設計前のお手伝いとして自分にできる事を始めたことで、現在は不動産仲介と
合わせてサポートと出来るようになっています。
買主の為のエージェントと言う名称ですが、私の行っている業務はバイヤーズエー
ジェントはまさにピッタリの呼び名だと思っています。
不動産業者は目的が物件を売買する業務。
私の目的は買主が家を建てる為の業務なので、住い手が将来不利になる
物件は勧めないという選択が出来ることがその大きな違いだと思います。
不動産購入から家づくりまでのストーリーは現在まで沢山ありました。
住まい手(買主)さん毎に皆違うのですが、その中の特徴的なものを9件ご紹介したい
と思います。
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実例ストーリー 9選
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位置指定で購入しない事を勧めた Aさん
不動産業者から紹介された物件は、位置指定道路に面する物件で一見問題なさそう
しかし、ちょっと気になって道路部分の所有者を調べると、開発した分譲会社所有と
なっていました。
更に調べてみると現在、この会社は既に解体していて存在もありません。
これでは道路改修も下水も引く事は出来ないのです。何故かと言いますと、例えば
下水を引く際は所有者の同意が必要ですし、道路改修は所有者が行います。
存在しない会社が道路改修をしてくれることは未来永劫ありませんし、勝手に改修も
不可能です。そもそも開発後何十年も事業者が持っている事自体可笑しいのです。
結果、私は将来を考えて、この土地は購入すべきでないとアドバイスしました。
その後、別の敷地で良い物件を見つけて、当社が設計、住まいを建てられました。
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造成前の地形図から分譲区画を決めた Bさん
50区画程の分譲地が気に入って購入したいとご相談がありました。
購入場所はどこが良いかアドバイスが欲しいとの事。 当方は分譲地を廻ってみて、
各ブロックごとに高低差が結構ある事と、道路の端部には4~5mもの擁壁があるのを
見て、端部側はかなり敷地が下がっており、これを埋めたことが分かります。
当時の開発図面(現況図と造成計画図)より、一番高い場所を切土(地面を切り取る事)
した部分を購入すれば一番地盤が硬いと想定して、購入場所を選びました。
購入後(偶然、角地部分となりましたが)、地盤調査をすれば、1mにも届かずに硬い
岩盤に当り、表層改良のみでとてもしっかりした住まいを建てることが出来ました。
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不動産業者の囲い込みを受けたCさん
ネットから希望している地域でお安い物件が見つけましたので、良くお願いしていた
不動産業者から物件の問い合わせを確認してもらうと・・・
“物件はない” と返答が帰って来ました。
初めは売れてしまったのであればと諦めたのですが、その後、ネットを見てもその物件
は無くなることなく掲載しているので、住い手'(買主)さんはその会社へ直接問い合わせ
をしてみましたところ、
“物件はあります” と回答が帰って来たのです。
これは直接買主から問い合わせを受けるための囲い込みと確定したわけです。
相談していた業者からこの話で再度問い合わせと話し合いをしてもらう事で、無事購入
できることになりました。
その後、当社で設計して住まいが完成しました。
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見ていた物件の価格が下がったので購入した Dさん
住い手(買主)さんは、当時お住いの地元地域内の物件をご自身で探してられました。
かなり以前からお話しを聞かせて頂いていたので、当方も何度か紹介致しましたが、
情報自体はご本人の方が良く知ってられましたね。
その中で以前から気になっていた物件の価格が下がったことを知り、それをきっかけに
購入を決めて、当方へ連絡を頂きました。
敷地を調査しますと、そもそも分譲地ですので境界もしっかりしており特に問題はあり
ません。 1つ気になる所として水道局に給水管径の情報データがありません。
敷地内のメーターは13mmなので20mmに変更は問題ないのですが、給水本管から
敷地までの引き込み管の径が分からないのです。
仕方ないので新たに給水本管からのやり替えを考えたのですが、解体時に水道業者
より20mmある事が分かりやり替え費用が不要になりました。こう言う事もありますね。
また、給水メーターの所有者が開発時の分譲会社の所有になっているのが気になり、
更に調べますと以前の持ち主も知らないまま何十年もそのままでいたらしいです。
気持ち悪いので、建築後に当方で住まい手さん名義に変更をしておきました。
既存建物は、解体・建て替えの予定なので調査はしていません。
敷地の調査をした上で価格交渉を掛けた後無事購入。当社設計の上、建物完成。
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伝統的建造物群保存地区で土地購入した Eさん
業者から紹介を受けた物件は、この地区内の平屋の廃屋でした。ここは誰もいない
長屋で、いるのは猫だけ。 そんな建物でした。
ココはとても古く有名な地区で、建物が密集し地域的に境界がはっきりしていない
場所であることが多いのです。
古い測量地図があったとしても境界ピンが無いと、立ち合い確認時は昔から隣地の
持ち主とはこうなっているという隣家の都合で境界が狭くなることがありがちで…
例にもれずその様になりました。
業者による敷地確認と隣地との境界明示確認と共に価格交渉して購入へ。
地盤調査を行って解体後、住まいを建てました。
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気に入って買い付けを書いたのに相手が断ってきた Fさん
売り出しの土地を見に行かれ、とても気に入ったと言う事で私も現地へ伺いました。
物件は目の前に桜並木があり見晴らしの良い土地で、購入を決め、すぐにそのまま
の価格で買い付けを書いて出しました。
それが、相手側から売り出し中止の返事が・・・そんなことがあるものでしょうか。
ただ、購入申込書の法的拘束力はない訳で。
どうも売り出したとたん買い手が付いたので、売るのが勿体なく感じたのでしょうか。
結局手に入れる事は出来なかった訳ですが、その後、別の良い分譲地が出たので、
土地を購入。住いを建てることとなりました。
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古民家に住みたい想いを実現した Gさん
古民家で探したいという希望から不動産業者へ依頼して物件を探してもらいました
ところ、その不動産業者(の親会社所有の物件)を売ってもらうことになりました。
賃貸で貸してられたとの事ですが、無理に購入させて頂いた様な形です。
物件は1938年の建物である事が分かる御幣が屋根裏にあり、今からざっと築80年
近い訳です。 土地等の調査では敷地の境界がきちんと確定している事もあって、
特に問題なしとして契約を行いました。
建物は雨漏り等でかなり傷んでいましたが、今後の耐久性を考慮して全面改修を
行う事にしました。 まあ、柱と梁、屋根の骨組み以外は全てやりかえです。
片方壁が隣家と接しているので分離すると共に隣家の持ち主と境界ポイントの
再確認を行う事と、裏の境界も隣地建物と繋がっており、境界ピンから分離を行う
事も行いました。
また、融資銀行との物件のやり取り(融資に関する建物の証明等)も含めて対応を
させて頂きました。 建物は私がすべて関わっていますので。
リノベーションされた建物は、古民家本来の雰囲気を戻し、美しく仕上がりました。
物件価格は割と高かったのですが、補助金の指定区域でしたので結構出た事も
あってとても喜んでいただきました。
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市街化調整区域で探す土地 Hさん
景観の良い場所に建てたいという強い気持ちで探していたHさん。地域は限定で、
私と知り合う前から田んぼ1つ1つを探していたそうで。
その後、何か所の候補地がありましたが、道路の幅員不足等で許可基準に届か
ない為に土地探しは進みませんでした。
ある時、昔(平成2年頃)乱開発したところで売りに出た物件が広告か何かで見つけ
られ、検討する事に。 とっても見晴らしは良いのですが、これも接道に問題ありで
敷地に進入部分が位置指定となっており、向かいの所有者と半分ずつ所有なの
です。 相手の承諾が無いと出入りが出来ないのはちょっとねぇ…
そんな時、、隣地を買わないかと言う不動産屋からの提案がありました。
この付近の区画開発(?)された地域は平成2年頃に造成された地域であることが
航空地図から分かるのですが、県の土木事務所で調べても当時の開発申請等は
一切出てこないことから、この一帯は違法で造った造成地だった事が分かりました。
段丘を造っている擁壁(間知石ブロック)は無許可の造成でした。
結局、県との協議で新たに開発許可を取り直し、擁壁(間知石)を積み直す工事を
行う許可申請を行いました。
結果として、許可が下りたことで念願の場所で建築ができることになりました。
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道路にある水路の明示で購入を1年待った Iさん
その現地は価格は広さに対してお安いですし、明日香にも近いと言う事でとても
気に入っているので購入したいとの事でした。
特に周りが田んぼで視界がパッと開けている土地なのです。
しかし、全面道路が狭く、水路を挟んでいる敷地ですので、水路と道路から進める
方法になります。 まず、敷地が道路に接していないので水路明示が無いと接道が
出来ない明示の手続きが必要です。
水路明示に関しては、水路の両側の同意がないと確定できません。 今回は水路
の対側に道路(里道)、そしてその向こうの所有者の同意がないと確定出来ない
のです。 しかし、対側側の所有者が道路後退を気にして同意判を押してくれない。
持ち主(売主)が話をするものの時間が掛る事に・・・なりました。
長い時間が流れ、結局、水路明示が確定するまで1年掛かってやっと購入が可能に
なりました。 その後、明示確定→占用許可→建築確認と進み、設計の後住まいを
建てられることになりました。
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まとめ
〇実は2003年頃からずっとやっていることが、買い手の為のエージェントとして住まい
を建てる事を目的とする住まい手へのお手伝いをしていました。
当初は設計前のお手伝いとして自分にできる事を始めたことで、当社は不動産仲介
業務の無いバイヤーズエージェントそのものになっていることに気づいたのです。
現在は不動産仲介に、家を建てるための購入サポートをつけて行う事になっており、
それから、今までは自分が設計する物件だけを対象としてきた訳ですが、現在は中古住宅を
購入するだけで、リノベする費用のない方にでもお手伝いできるmenuを新たに考えて
不動産業務を行っています。
〇実例ケース
今まで沢山の購入ドラマがありました。
書き始めると幾つも出て来てしまい、途中でやめましたが、購入のケースだけで
言えば不動産屋さんは同じケースは結構あるのかもしれませんね。
〇物件探しをしてられる方へ
この話は近年の20年程で実際に体験した事です。
こういった体験を見て頂いて、貴方が物件の購入時に自分だけで様々な対処が
出来るかどうかなのです。
難しい方はニュータウンの分譲地を購入すれば殆ど問題は無いでしょう。
不動産業者は住まいを建てる所まで関わる事がありません。 しかし、当社は
住い手さんと一緒に住まいが建つまで関わるのでこういった問題に対処する必要
があったのです。 ややこしい物件の案件は設計事務所向きかもしれませんね。
浅野勝義/奈の町