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土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域内の土地について

土砂災害警戒区域

土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域内の土地について、購入して家が建てられるのか等の疑問にお答えしたいと思います。

昨今は、50年、100年に一度といわれるような豪雨や線状降雨帯の長雨で、
河川が氾濫したり水に浸かってしまった住宅地の映像を、見る機会がありました。

『50年とか100年に一度の災害』 って、毎年の事を言うのでしょうか?
不思議な天気が続いています。

この土砂災害や洪水、今回は特に土砂災害について国や地方自治体は
どの様な対策と区域指定などがされているのかをお話したいと思います。

地方自治体はそういった地域を調査して、必要であると判断した場合に
指定する法律があります。

『土砂災害防止法』と言って、県が地形や地質その利用状況を調査して、
土砂災害の恐れのある区域を『土砂災害警戒区域』、
建築物に損害が生じ、住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずる恐れ
がある区域を『土砂災害特別警戒区域』として指定されています。

今一度、土砂災害区域を知ると共に、ハザードについても再認識しておき
たいと思います。

目次

土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域とは?

まず、この二つの区域について、どういった区域なのかを説明します。

〇土砂災害警戒区域(イエローゾーン)

・・・「急傾斜地の崩壊等が発生した場合には住民等の生命又は身体に危害が
生ずるおそれがあると認められる土地の区域」(法第7条)

〇土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)

・・・「急傾斜地の崩壊等が発生した場合には建築物に損壊が生じ住民等の生命
又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域」(法第9条)

“特別警戒”や”レッドゾーン”と、名前を聞いただけでも、ちょっと危なそうな名前
ですよね。
はい、実際に危ない区域です。

少し前の話になりますが、
以前(2015年頃)、住い手さんの家がこの土砂災害警戒区域内に指定されたため、
移転を勧告され、他の所有地に移転する為に私が住まいを設計させて頂いた事が
ありました。

県庁に相談しに言った訳ですが、当時(2015年)はまだ土砂災害特別警戒区域は
指定区域の調査中で1ヶ所も指定されていなかったと記憶しています。
警戒区域でさえ、まだ調査指定の終了していなかったのではないかと。

当然、当時は警戒区域であったものの、現在は特別警戒区域に指定されている
所もあるでしょう。
この調査は2021年では終了しているようで、奈良市を例に取って見ると、土砂災害
警戒区域は880か所、土砂災害特別警戒区域は799か所もあります。

下に奈良県の土砂災害マップの一部を切り取ってみました。
このマップはホームページから奈良県全域についての状況を確認することができます。
黄色が土砂災害警戒区域赤色が土砂災害特別警戒区域を示しています。
各色の外側が急傾斜地・土石流・地滑りを表しています。

土砂災害の場合、急な斜面で土石流等が流れ出すと想定されるために、形状が扇型に
なっています。特に急傾斜の場合はその直下になります。

地図を見て頂けると分かりますが、土石流の予想想定範囲が住宅団地を飲み込んでいる
地域もあり、ご自身の住まいがどこに当たるのかも確認しておく事も大切です。

マップの一部写真

土砂災害警戒区域
奈良県土砂災害マップより掲載

このマップは奈良県土砂災害マップで、下のアドレスで誰でも見ることができます。
https://www1.nara-saboinfo.jp/doshamap/Map/Index?mode=Danger1km&area=207

また、各市町村ごとの指定状況については、以下のアドレスによります。
http://sabo-yr-etsuran.pref.nara.jp/

法令上の制限について

では、
その区域内に敷地がある場合は、建物を建てるにおいてどんな制限があるのでしょうか?

a) 土砂災害警戒区域の場合

住宅を建てるにおいては、とくに制限はありません。 建築可能です。
しかし、要配慮者利用施設における警戒避難体制整備を義務付けています。
また、ハザードマップの周知の徹底等があります。

b) 土砂災害特別警戒区域の場合

住宅等の建築に際しては、特別警戒区域で示す自然現象(急傾斜地の崩壊,
土石流,地滑り)に応じて,土砂災害を防止するための対策工事が必要です。
また、
住宅宅地分譲などを目的とする特定開発行為には許可が必要で、開発行為を
許可制にし,建築物の移転等の勧告及び支援処置(例えば補助等)が義務化
されています。

まあ、国土交通省は土砂災害特別警戒区域内では、住宅の建築は勧めて
いないのです。

購入する土地がその区域内の場合

a) 建築をする上での制限

〇土砂災害警戒区域(イエローゾーン)の場合・・・特にありません。
〇土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の場合・・・制限があります。

どの様な制限か? 特別警戒区域では建築物の構造が土砂災害を防止・軽減
するための基準を満たすもので、簡単且つ安価で出来るものではありません。

b)住宅ローンについて

〇フラット35Sについての情報

・・・特別警戒区域(レッドゾーン)は、2012年.10月より適用外となります。
詳しい内容は、住宅支援機構HPのこちらにパンフがあります。


〇銀行ローンについて

今後はフラット35Sの方針に合わせてくる可能性はあります。
国土交通省や地方自治体は、特別警戒区域からの移転等の処置にに対して
支援機構からの融資も行っています。

c)基礎調査の対象地

これは、指定の為の調査指定された区域の事で、調査後今後指定される
可能性があります。
奈良県は調査を終了しているようで、基礎調査の対象地は今後増える事は
ありません。
(2021.6現在)

不動産売買での注意点

物件がその区域に入っている場合、売買契約ではどの様になるのか。
物件の地価と将来の評価、そして火災保険等についても検討してみます。

a)売買契約において

・・・重要事項説明での説明義務があります。
また、土砂災害警戒区域で注意したいのは、家の建築などにはとくに規制はありません。

注意すべきはこれらの地域は周辺の自然環境の良さや景観の良さなど、土砂災害警戒区域に
指定されている地域には、住まいにとってプラスになる点もあるでしょう。
しかし、「土砂災害警戒区域」は、そのまま、土砂災害が心配される区域を指します。
国土交通省の土砂災害防止法に基づいて定められた区域にあたり、土石流、地滑り、
急傾斜地の崩壊などの危険が予想されるエリアである事を忘れてはいけません。

特にまた、土砂災害特別警戒区域よさ(レッドゾーン)では、土地の評価の際に、特別警戒
区域補正率による減価補正がおこなわれることがあります。
購入する際には土地の評価にも影響する事も知っておくべきでしょぅ。

b)両区域に指定されると地価がお安くなっている場合がありますが、購入後、
次に売る場合は、転売が難しい可能性があります。

安く購入出来たとしても、将来転売の際はこの地域に指定されている事で転売が難しい
そう言う事になる可能性は十分考えられます。

c)購入の検討

特別警戒区域(レッドゾーン)の場合は、リスクが大きい事と国も移転を勧めて
いる事から購入はやめた方が良いと私は考えます。

d)火災保険には入れるのか

土砂災害警戒区域であっても、火災保険の契約をすることは可能です。

しかし、度重なる自然災害等の保険金額の増大で、2019年の値上げに続き、22年1月に
保険料の値上げ、更に2022年にも値上げの予定が決まってます。
今後リスクの大きい場所での保険加入については今後は難しくなるかもしれません。

既に楽天保険(ホームアシスト)では、ハザードマップの水災リスクに応じて保険料を
決定するという保険会社も出てきています。
今後危険度リスクの大きい地域では、土砂災害警戒区域・特別警戒区域内での保険料が
増大する可能性も理解しておく必要があるでしょう。

まとめ

a) 土地購入時の注意点について

土砂災害区域マップで現地を確認しましょう
https://www1.nara-saboinfo.jp/doshamap/Map/Index?mode=Danger1km&area=451

〇現地で周りの景色をよく見てみましょう
急な崖がないか、自分の場所が山の谷間でないか、廻りより低い土地ではないか、
そう言った目で付近の様子を見る目が必要です。

b)特別警戒区域でのフラット35Sが対象外となった事から見える事

現在は住宅ローンの融資は可能ですが、今後は住宅支援機構に倣って銀行融資も
その方向へと変わる可能性が考えられます。

c)レッドゾーンでの土地購入

国(国土交通省や地方自治体)も移転を勧めている事もあって、購入は止めるのをお勧め
したいと思います。

それが例え、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)であってもリスクを重視する方
であれば、購入しないという判断はあ
ると思います。
安全は自分が情報と知識で判断するものです

また、転売の際の価格下落リスクも大切です。 両地域である事で土地の原価補正が
掛けられるのは資産防衛としてはリスクになります。

d)火災保険についても今後は判断が厳しくなる

火災保険についての加入は現在可能ですが、両地域内は今後は厳しくなると共に
リスクを考慮して保険料の増大へ変更される保険会社は今後更に多くなると考え
られます。 それとは逆に、ハザードマップ等のリスクの少ない土地が高い評価を
受けるような、リスクに合わせた保険料が普通になる時代はそう遠くないと思われ
ます。

e)それだけでなく参考にしてほしい資料についてご紹介します。

洪水マップ(各河川毎)
http://www.pref.nara.jp/dd.aspx?menuid=15310
各市町村の発行している洪水マップ又はハザードマップ

活断層マップ…地盤安心マップ
https://jam.jibanmap.jp/map/main.php

〇住宅造成団地であれば以前の現況地形図又は造成計画図
以前、池や谷地となっていないか

都市計画図で現地が市街化区域内である事
http://www.pref.nara.jp/24430.htm

土地を購入前には、これらを一度でも調べておくのをお勧めしたいと思います。

浅野勝義/奈の町(2021.6)

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