建築家+住宅コンサルタント[一級建築士•宅建士•2級FP技能士]の浅野勝義が、住宅設計の知識や経験から住宅のお悩み相談承ります。

建て替えの建築費に解体費を忘れていませんか?

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【二世帯住宅のご相談】

設計相談で建て替えをご検討の相談者さんの話で、とっても気になる
事があったので、今回はこの話をします。

気になる事と言うのは、既存建物の”解体費”です。

建て替えを考える場合、その計画がどんな建物であったとしても
既存部分を解体する工事は必ず必要です。

計画予算をお聞きする際、提示いただける金額は大抵の場合、不思議と
解体費と諸費税はその中に含まれていない事が多いのです。
(もっと言うなら、そこには設計料も含まれていない。)

例えば、「全部で予算3500万まで。これが目一杯です。」
という様な。
それでいて建物は2世帯独立だったり、建坪50坪が希望なんですよね。

私「既存建物は大きい建物ですから、解体費(消費税も)は別でいけますよね?」
という質問に、
相談者「・・・」なんですよ。

正直、解体費をなめると家は建ちません。
家を建てるならどうにかなる様な価格ではないのです。

 

解体費用はどうにかなる価格ではない

昨今、解体費が計画予算に占める割合は、とても大きくなりました。

以前であれば解体費の目安は、解体建物の坪数x3万円程度を見ておけば
大丈夫ですと説明させて頂いたのはいったいいつの事だったのでしょうか・・・

以前、建設費が2021年の春から急上昇したとブログで書きました。

2022年、資材不足で建築価格が高騰

しかし、解体費はもっと以前に価格は上がっています。

2002年5月から建設リサイクル法が施行され、廃材の分別処理が必要に
なりました。 その事によって手作業が多くなったこともコストアップ
につながっています。

昨今では、廃棄物の処理をする処分場が少なくなり、引き取り価格も
高くなリました。

では、実際の所、解体費はどれくらい必要なのか、実例を交えて検討
してみたいと思います。

 

見積もり実例から見る。

現場①

見積もり時期 2021.6
既存建物 木造2階建て
延べ床面積 138㎡(41.8T)
現地の条件 幹線道路からの侵入道路幅員4mに少し届かず。
幹線道路からは近い
前面道路は、ほぼ4M
敷地は広く建物周りに空地は十分あり
屋根は瓦葺き、外壁はトタン張り
水道電気あり
工務店へ解体見積もりをお願いした。

no, 工事項目 見積もり価格(円)
1 仮設工事 403,000
2 解体工事 2,319,650
3 外構撤去 214,000
4 諸経費 50,000
合計 3,516,950
坪単価 3,516,950÷41.8坪= 84,137円(税別) 税込み 3,868,645円

ちなみに同現場において、あまりにも高額である為に、後日別の業者へ
見積もりをお願いしました。
なお、条件は同じです。

no, 工事項目 見積もり価格(円)
1 仮設工事 192,000
2 解体工事 1,227,000
3 土間コンクリート撤去・運搬 60,000
4 植栽撤去・運搬 180,000
5 井戸撤去・埋め戻し 60,000
6 諸経費 89,950
合計 1,804,950
坪単価 1,894,950÷41.8T=43,180円(税別) 税込み 1,985,445円

この2つの見積もりは、現場の条件は全く同じです。

現場②

見積もり時期 2018年5月
既存建物 木造2階建て
延べ床面積 189.7㎡(57.5T)
現地の条件 接道の道路幅員は5m
幹線道路からは遠く、一部4m程度の区間がある
敷地は広く建物周りに空地は十分あり
屋根は瓦葺き、外壁はモルタル塗り
一部梁材等再利用の為、取り出しあり
水道電気あり

工務店から2社の解体業者へ見積もって頂いた。

no, 工事項目 解体業者A(円) 解体業者B(円)
レッカー費 76,000 76,000
養生・取り出し 230,000 230,000
古材運搬・管理 240,000 240,000
解体工事 2,600,000 3,360,000
工事諸経費 60,000 60,000
リサイクル申請 20,000 20,000
合計 3,226,000 39,860,000
坪単価 56,104/坪 69,321/坪

※取り出し(生け捕り)、古材運搬・管理、リサイクル申請は工務店が行う。

 

実例を交えての検証

現場①の検証

以前までは解体費用の概算は、3~5万円と見ていたが、この価格はその数値と
比較して明らかに逸脱していると思われる。
高騰という言葉で説明が付くものだろうか。

仲介業者も解体見積もりを既にとっていたようで、その価格を聞くと、やはり
300万を超えていると聞きました。
もし、300万で可能だと想定すると、坪当たり71,800円となる。
それでも7万円を超える見積もりは高額である。
現地での作業としての難易度は高くない。

この300万が適正価格と言えるのだろうか。

そこで、別の解体業者に直接見積もりをお願いした。
現在見積もりしている価格が高過ぎて困っているとも説明した。

結果は、税込み200万で納まった。ほぼ半額である。
2社目の価格で、坪単価4万3千円であれば納得させられるし、時期的に見ても
リーズナブルだと考えられる。

しかし、1社目の坪当たり8万4千円は何故そんな価格になるのだろうか。

 

 

以前の建物から再利用として生け捕った梁等

現場②の検証

この見積もりは、工務店1社に依頼したものです。
解体業者によって価格差があるので、2種類の見積書を出してくれました。

現場①との大きな違いは、以前の建物に使われている木材の一部を再利用する
目的で、解体時に大工等の職人が入って梁等を取り出す作業と、その材料を
運搬・保管する費用が含まれているという事です。

この費用は、見積もり価格で約40万円掛かり、且つ、今後建てる住まいに
取り付ける為、加工する大工手間が掛る事を忘れてはいけません。

構造材の再利用は、材料費が安くなると思われている方が多いのですが、
実際は反対にお金が掛かりますので、ご注意ください。

話しが少しそれました。

生け捕り費用が40万として、建坪で割ると、約6780円/坪となります。
表の坪単価から生け捕り費用を惹くと、業者Aで5万円/坪、業者Bで6.3万円/坪
となり、業者A が対象になってきます。

しかしながら、現場の条件はそう悪いものではなく、あるとすれば幹線道路から
の距離が長く、進入路幅が狭い部分があるという事だけで、坪単価5万円になる
のも、悩ましい価格ではあります。

 

まとめ

「家を建てるのだから、解体費くらいは工事代に込みに出きるだろう。」

そんな事は本気で思ってはいいけません。

今回のテーマとなる解体費用ですが、
我が家の解体費に、どれ位のお金が必要かを一度知って欲しいと思います。

条件が良くて、お安い業者に巡り合えたとして、坪当たり4万円~5万円。
もしかしたら坪8万だとすると、400万以上の見積もりが出る可能性があります。
こんな見積書が提示されたら、目の前真っ暗になりますよ。

「全部で予算3500万まで。これが目一杯です。」

事情は分かります。しかしこれが本当なら、分解しますと
〇解体費275万(建物55坪で坪5万円算定)、
〇建築費2750万(設備工事費・外構費込み)
〇家具・家電40万
〇照明・カーテン30万
〇融資・登記・申請諸費用80万
〇消費税317.5万

という内訳となり、合計が3,492.5万円(設計料含まず)

さて、
建坪50坪希望で、外構費込み2750万で創れる二世帯住宅はどんな家なのか。
私が設計する場合、建ててくれる工務店はありません。
設計抜きでローコスト住宅会社を探して依頼する方法しかありません。

この場合、家づくりを成功させるのであれば、初めに外構込みで2750万で建ててくれる
建築業者を探す事から始めることになります。
それでどんな仕様で、どこまで含んでいるかを確認してください。
その仕様(建物内外の使用する材料グレード)で、自分達が納得できるかどうかも。

もし、建坪が希望通り建てられない事であれば、
1.建物の規模を小さくする、
2.2世帯分離型はやめる、
3.予算を増やす、(ローン又は現金)
4.建て替えを延期する、
5.建て替えを諦める。
これらを検討すべきです。

二世帯住宅で注意すべき点があります。

2世帯住宅は兎角広く大きな住まいになりがちです。
でもその広い住まいが本当に必要になる時期は、子世帯の子供が独立するまでです。
20年もすれば親子二世帯4人、30年を超えれば大空間の家に夫婦2人で住んでいる、
なんてことはよくある事です。
実際にそういった相談がありますし、売却にしても売り難い為に広さの割にお安くなって
しまいます。

本当に必要な空間はどれ位なのかをしっかり考えて、
家族の人数が減った時でも使えるように計画を考えてくださいね。

浅野勝義/奈の町

 

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