先日、自宅の火災保険を更新しました。
保険会社を楽天損保に切り替えた訳ですが、この保険料の料率算定の中に
“ハザードマップによる水災リスク別料率”
という項目が加わりました。
これは水災の影響を受けにくい地域に対して段階的に割引をする考え方で、
昨今の水災が多発している状況を考えると、当然考えられることで
今後、他の保険会社もこのように変わってゆくのではないでしょぅか。
水害リスクが高い所は、保険の料率が高くなる。
支払う保険会社から見れば、リスクの低い地域は料率が低くしても良いわけで
申し込みする方にとっても有り難い話です。
水災リスクの大きい場所とは、
1.河川が近い地域
台風に限らず突然の豪雨は、毎年至る所で起きています。 特に河川に近い
地域では床上浸水や河川氾濫とリスクが高い事を認識しておく必要があります。
地元奈良では南から北へと流れる河川のその殆どは天井川に近い水位である為に
一度河川が決壊すると広大な面積への浸水が考えられます。
当然、地盤の低い場所は水が流れ込み易いだけでなく、水が長期間抜けない
地域であるということです。
2.低層の建物に住んでいる
低層の戸建て住宅や集合住宅は水害に対して影響が受けやすいです。
ちなみに水害による保険ですが、保険が適応されるのは、床上浸水、又は
地盤面から45cmを超える浸水による被害を受けた場合になります。
建物基礎の中に入ってしまった水害についてはその対象外です。
戸建て住宅で浸水から防ぐ為に、対処する方法が無い訳ではありません。
例えば50cm未満の地域内であれば、地盤より建物を少し上げて建てる事も
効果があリます。基礎の開口部から床下へ水が進入してこない様に対処する
事でリスクは大きく下がります。
流石に3M未満の地域ですと、1階は浸水してしまいますから対処は難しいですので
その物件を購入しない選択もあります。
これもきちんとしたリスク回避の方法です。
参考ハザードマップ
土地や中古住宅購入の検討時は、ご自分が住む場所がどの様な条件下にあるのか、
国土交通省のハザードマップ、重ねるハザードマップ
又はお住まいの市町村の発行しているハザードマップにて確認してください。
不動産取引による水害リスクについて
不動産の取引前に購入者に説明する重要事項説明書ですが、2020年8月から
『水害ハザードマップの説明が義務化』されました。
もしかしたら、契約前の重要事項説明を聞いた時に初めて浸水度合いを知ったという方もいるかも知れませんね。
契約前にその話を聞いて、事の重大さに気づき(気づかない事が多いかも)、
契約をやめるなんて人は、いるのでしょうか。
「どこに住んでもある程度のリスクはあるから」
「今まで浸水した事なんて聞いたことない区域だから」
ことの重大さを知らない事は言い訳にはならないのです。
奈良県では公式に浸水想定区域図を公表しています。
奈良県の出している浸水想定区域図
各河川別に、洪水浸水想定区域、浸水継続時間、家屋倒壊等氾濫想定区域が
詳しく表示されています。
国土交通省 大和側河川事務所が出している浸水実績図では各市町村別に
過去の浸水状況が表示されています。
昭和57年にあった洪水による浸水は広域でしたが、既に地形も治水も
変わっていると思われますので、近い時期での情報が役に立つでしょう。
こちらは各河川ごとに地図で表記されています。
不動産の評価がこれから変わってゆく
台風などの大雨だけでなく、線状降雨帯がもたらす大雨が日本中で多発する現在、
土砂災害や水害等リスクの高い地域の不動産評価はどの様に変化してゆくのでしょうか。
✔︎火災保険等の料率が高くなる。
✔︎不動産の評価が下がり、売買時の地価が安くなる。
✔︎銀行融資の審査が厳しくなる。
✔︎リスクの高い場所での建築許可制限が厳しくなる
実際の所、
今年、土砂災害特別警戒区域内では住宅支援機構(フラット35)の融資は受ける
ことが出来ない事が発表されました。
当然、水害についても同様に今後広がってゆく可能性が考えられます。
浸水リスク
土砂災害リスク
更に地震に対する建物の耐震補強も大切です。
地域の安全性、
地盤の安全性、
そして、建物の安全性と、
住まい手のリスク回避は、避けて通れない状況になっています。
物件購入時は調査の重要性を再認識し、
既にお住まいの方は、現状認識を理解しておくことが大切です。
ちなみに自宅の区域はリスクが一番低いところで保険料を抑えた費用でしたが、
以前の契約よりは高くなりました。今後も保険料が上がっていくのでしょうね。
浅野勝義/奈の町