木造中古住宅を購入するには、いつ頃の建物がお勧めなのか教えて。

木造中古住宅を購入するには、いつ頃の建物がお勧めなのか教えて

「予算がないので中古住宅を買ってリノベしようと思っています。いつ頃(築何年)の建物がお勧めなのか教えてほしい。」

そんなご相談がありましたので、お話します。
以前の奈の町での設計経験も併せて書いてみます。

中古住宅を判断するには、何を基準に線引きするべきかを考える必要があります。

例えば、耐震性。
昭和56年以前と以降は大きな違いがあることは、ご存じの方も多いと思います。

お安さ(経済性)を求めるのであれば、築20年以上が良さそうです。

その他は住宅性能、ローン減税等があるでしょうか。

また中古住宅のリノベですから、改修費用などのアドバイスも付け加えてみます。

木造中古住宅を購入するには、いつ頃の建物がお勧めなのか教えて

中古住宅を経済性で考えてみる

経済性

以前にも書いた事がありましたが、木造住宅の税法上償却期間は22年であることから、中古住宅の建物評価も、この22年で”0″になる(正確には僅かだけ残る)という考えで査定されているようです。
経済性を優先するなら、築20年あたりの物件が御買い得です。

建物代の殆どが無くなりますが、土地代は残ります。(時間経過とともにほぼ土地代に近づく)

居住性

「住めればOK」という方にとっては、築22年超の家はお求めやすい価格になりますのでとっても魅力的な建物です。
しかし、住宅性能はとても高いとは言えず、住みにくい住宅であるので、暮らし易さを求める方はリフォーム・リノベーション費用は一番掛かると考えます。
現実的な居住性を求めるのであれば、ここ10年以内の新しい物件が明らかに有利です。

安全性

「(安全性」についてですが、やはり違いはあります。
大きく分けて、
〇1981年以前 旧耐震
〇2000年以前 新耐震
〇2000年~現在 改正新耐震
に分けられ、順に安全性が上がります。
安全性を求めるのであれば、築20年以内をお勧めします。
’82以降の新耐震に対応した建物でも良いと思います。

中古住宅を建物の性能で考えて見る

 断熱性

断熱気密性については、最近のこの10年前後の話。
とっても最近の話です。 それだけ住宅性能については遅れているということです。

耐震性

1981年5月以前の建物

  耐震性の改修が必要。対策をしない限り融資も出ないです。
旧耐震 震度5程度で倒壊しない程度の基準。

1981.6~2000年基準以前(フラット35では1983年4月以降が対象)

新耐震 震度5程度では殆ど損傷せず、震度7に対しても一気に倒壊せず人命に及ぼさないこと
改正内容は、接合部の金物、耐力壁のバランス(偏心率)が確保されていない。
品確法による地盤に合った基礎の検討がされていないことがあげられます。

2000年以降の建物の地震被害は、激減しています。

住宅性能

次世代省エネ基準(H11年基準)1999年3月に施工された基準ですが、2010年現在で達成している住宅は30%以下でしかない。2020年までにすべての住宅に義務化とされています。
また、2013年(H25)改正次世代省エネ基準で一次エネルギー消費量の指標が導入されました。

性能評価について

2004年頃に私は木材センターの住宅性能評価の講習を受けた記憶があります。
まだまだ断熱性能や温熱環境、耐震性能は目新しい情報でした。

温熱環境や断熱等級4を確保するなんて言うのはここ最近の話です。
中途半端な住宅より、中古住宅を購入した後で改修する際に、高性能の性能を確保できるように改修する方が早いかも知れませんね。

住宅ローン減税

〇木造住宅は、築20年までなら住宅ローン減税の対象になります。
それ以前であれば、耐震基準適合証明書、既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)又は、既存住宅売買瑕疵保険に加入に適合している事が確認された住宅がそのたいしょうになります。

その他住宅ローン減税適用の条件
〇床面積が50㎡以上
〇自ら居住すること
〇借入金の償還期間が10年以上
〇合計所得金額が3000万円以下
〇増改築等の場合、工事費が100万円以上

住宅ローン控除を受ける事の出来る対象住宅は、築20年までですから、2001年以降の建物を探すべきですね。

■国税庁 No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)

木造中古住宅を購入するには、いつ頃の建物がお勧めなのか教えて

まとめ

お勧めの築年数

耐震性を考えるなら2000年6月以降の建物がお勧めで、住宅ローン減税も対象になる
価格だけで考えるなら、築20年超の建物の方がお安い
現実的な居住性を求めるのであれば、ここ10年以内の新しい物件
住宅性能で言いますと、次世代省エネ基準に対応している住宅
しかし、これはかなり最近の住宅になってしまいますし、まだまだ割高です。
プランなど自由性がないのであれば、新築の方がお勧めではないかと思います。
住宅ローン控除を受けたい場合は、2001年以降の建物になります。

結論は、すべてを兼ね備える家はある訳ではなく、購入者が何にポイントを置くのかで判断するのが良さそうです。

私の設計経験を思い出す

18年前、奈良に事務所を移転した頃は、複層ガラス自体が高性能の部類で、トイレなど開口部の小さい窓にシングルガラスも採用していたのを覚えています。
2004年頃は防犯複層サッシは超高額商品で奈良ではだれも使われておらず、大きな住宅の改修工事で見積もりを取った際、とんでもない価格でした。結果的に使いましたが、当時は空気層が6ミリの防犯複層でも最新鋭てした。
2003年当時、設計図には、次世代省エネ基準の仕様が標準されていて、なのまち事務所では複層ガラスは標準化されました。気密性にこだわりだしたのは2007年頃以降だったと思います。
思い返すと、省エネルギー対策の採用は、他よりかなり早い時期で採用しているはずです。(当時次世代省エネを標準化している所は少なかった)

それ以前の大阪での頃は、サッシは全てアルミ、ガラスはシングルガラスが標準でした。
しかし、建築基準法の法令に順守している住宅は大阪では殆ど満たされています。(ここが奈良との違いです)
奈良は大阪に比べて3年は遅れている事を考慮すべきだと思います。

これらの事を踏まえると、省エネルギー性が広く採用されたのはまだまだ最近で、15年以上前の建物はほぼ断熱性能に期待をするのは難しいと思いますので、中古住宅を購入される場合は、この断熱性の向上と、可能なら気密性の向上リフォームをお勧めします。

内部リンク

祖父母から贈る孫への住宅収得資金の適用期限は2021年12月末迄

土地を見て、建築費が割高になると予想される条件を5つ紹介します。

中古住宅の購入リスクは、物件とリノベーションのローンに制限がある

  • URLをコピーしました!
目次