◇そこに住まいを建てる為の土地探し
土地の価格だけに気を取られて買ってしまい、建物を建てようと思った際にすごいお金がかかってしまう。
そんなケースが実際にあります。
今回は、”建築工事をするにおいて割高になってしまう土地”の条件を5つ、ご紹介いたします。
建築費が割高になる土地の条件とは、どんな土地?
1. 建物を建てる場所が、細い通路の奥、または建物の奥にある場合。
こういった敷地は当然ですが重機・トラックが入りません。 現代の建築工事で重機やトラックが入れない土地はどうしても割高になります。
建材の搬入は人力になります。梁材の長さが短いものしか組めないので細切れの材料で組む事になりますし、通し柱やスパンを飛ばす梁も搬入ができないので設計にも影響が出ます。
2. 幹線道路から敷地までの道のりが狭い。
今度は、幹線道路から現地へ辿り着くまで道路幅が狭かったり、道の角を旋回出来なかったりする場合です。
その場所を通り抜けることができないと、どうしても大きな建材等が小分けで運搬になります。大型の重機が入らないのも同じで、細くなっている場所で荷物を積みかえたり、最悪人海戦術で運ぶこともあり得ます。
意外ですが、幹線道路から現地までの道のりにも注意が必要です。
3. 隣地の建物が敷地境界に接近している場合
敷地の境界線付近でも注意が必要です。 隣家の建物が境界線いっぱいまで建っている場合、まず初めに工事のための足場の建てるスペースがありません。
隣家建物まである程度の距離があれば、隣家に相談して足場のスペースを使わせてもらう相談も出来ますが、いっぱいに建っている場合は、こちらの建て物の配置を足場の設置スペース分を後退して建てる必要があります。
また、隣家が接近している場合、地盤改良時に隣家に影響が出やすい事も考えられます。 近接して掘削した場合、隣家や塀が下がったり亀裂が入る恐れも考えられます。
4. 敷地が道路より下がっている場合
以前、私の記事で【道路と敷地に高低差がある土地は、平坦地と比べてお得なのか?】でもお話ししましたが、敷地が道路より低い場合は下水の処理等を考えるとどうしても道路とフラットにするための造成工事をすることになるでしょう。
以前、私の設計で 【敷地が急傾斜地になっている土地で地形をそのまま生かして地階を埋めた設計】 例がありますが、これは特殊な例で、一般では造成するための擁壁工事が必要になります。
その場合、敷地ぎりぎり一杯まで擁壁を築造して土を入れて締め固める工事が必要です。 この工事は、擁壁の工事と造成の工事を伴いますのでとても費用が掛かります。結局、建物を建てる前に大きな出費が必要となるのです。
5. 敷地が狭く工事車両を止める場所がない
敷地内に工事車両を止めるスペースがないと、常時入っている職人の車を置くための駐車場を工事期間の間借りる必要があります。その為の費用は、建築工事にどうしても必要な経費となって計上されてしまいます。
また、現地に建材をストックしておく場所がないのも困ります。 建物の外枠が出来てくると建物内部にも置いておくことが出来ますが、基礎工事の型枠や鉄筋、柱梁などの木材や建材類は建物の外にストックして置きたいものです。
あまり狭い敷地も割高になる原因でもあります。
まとめ
私の体験談としてお話します。
1. 過去に古民家の横通路(1.3m程)の通路を使って、建物の奥に新築棟を設計したことがあります。 その際、建材の搬入は工務店さんの人力による搬入で、当然ですがそれだけで何十万の費用が割り増しになりました。
2.長い材料を搬入できない道路幅(道路角の旋回も含む)の場合は、木軸を組む際にも支障が出ます。通し柱やスパンを飛ばす際の梁、長めの梁の搬入ができないので仕口や分割の数が増えることも考えられます。
3.道路境界線付近に電線がある場合、上棟時にクレーン作業に支障がでる事があります。材料や建材をクレーンで持ち上げて上に運ぶのですが、道路境界上空にたくさんの電線がある場合、道路が広い場合は上空を飛び越すことも可能ですが、狭いとクレーンのアームが引っ掛かるのです。
結局のところ、
割高になる条件の多くは道路幅に影響されるのですが、道路幅が狭いと建材の搬入・搬出だけでなく、重機も使えないのでどうしても割高になります。
道路幅員が狭い土地は、建築工事も割高になるとも言えるのです。