地盤改良工事は耐震対策ではありません。

地盤改良は耐震補強ではありません

地盤調査というのをご存じでしょうか。
タイトル写真に載っています小さな重機に取り付けた矢じりを地面に差し込んで、グリグリと回して調査するアレです。

敷地の建築予定場所を調査して、地盤が軟弱であることが分かれば地盤改良を行います。
うちの事務所は、2009年の「住宅瑕疵担保履行法」で地盤調査が義務付けられるずっと前から地盤改良を行ってきました。

地盤改良というのは、建物を安定して載せる事が出来るように地盤を強固にするのが地盤改良工事です。

 

地盤改良工事は耐震対策ではありません。

 地盤改良を、耐震性の向上の為と言われると聞きましたが、そうではありません。 
あくまで建物が不動沈下等で不規則に下がる事の無い様に地盤を替える(変える)工事なのです。 

耐震の対策だと思われていた方。 
何故、耐震対策ではないのかと言いますと、それは、地盤改良は建物の下にある地盤部分を補強する事が目的だから。

しっかりしている地盤の上に建物が乗っているという考えで、耐震性の対策はこの上に建つ建物に施します。
勿論、強固な地盤の上に建物が建っておれば揺れ方も小さくなることは間違いありません。

その為には地盤調査が必要です。

地盤調査と言うのは、建物を建てる敷地が軟弱なのかしっかりしているかを調べる事で、その方法も幾つかの種類があります。

住宅で一番ボヒュラーなのは、スウェーデン式サウンディング試験といわれる方法で、地面に矢じり形状のロッドを付き刺して、上から100kgの荷重を乗せ、その後回転を加えてみて、そのロッドの沈み方で地盤の固さや締まり具合を調査するものです。

 

地盤調査の方法は? それで何が分かるのか。

私のブログでは、過去によくご紹介しています。

地表から25cm毎に測定するので、例えば地表から2.0mまで軟弱で、4.75mより下に硬い地盤があるといったような情報が分かります。 調査ポイントは建物の四隅と中央の5点程度。
この情報から地面下の地層が建物の下でどの様に形成されているのかを想定できます。

調査結果の検討で何が分かるかといいますと、
1. 軟弱層の厚さで建物が圧密沈下する可能性を確認する
2. 水位と土質によって地震の際に液状化を起すかどうかを確認する
3. 地盤を改良するか否かを決定し、改良杭の深さを確定する

と言った事を確認します。
25000円でこんな情報が分かるのでしたら、お安いと思いますね。

次に、地盤改良の方法ですが、
1. 表層改良・・・軟弱部分が表層から最大2Mまでなら、セメントを表土と
  混ぜて締め固める方法。 一番お安い改良方法です。
2. 柱状改良・・・円柱状に地面を掘りながらセメントと土を混ぜる事で、
  強固な柱を形成してこれを硬い地面に届くまで沢山造ります。 
  深さは8Mまで。
3. 鋼管杭・・・地中30Mまで改良できる杭で、鋼管を打ち込んで建物を支え
  ます。

軟弱な層が厚い場合は、工法が複雑化しそれにつれてコストも上がります。
調査してみて軟弱であることが分かり、地盤改良のコストを聞いて更に驚いてしまう・・・。

買主「建物以外でこんなに費用が要るなんて。。。」
実際、こんな事もありました。

本当は、物件の契約前に地盤調査をした上で、購入が可能であれば一番良いと思いますが、現実には売主の了解が必要です。経験上、売買契約前に地盤調査を行う事を了解したくれたケースは残念ですが今のところありません。
購入した後で調べて対策をして下さい、と言うのが業界のルールになっているのが現状です。 
売主から見れば、調査して軟弱だから止めるとか価格を下げて欲しいなんて話は聞きたくないのでしょう。

何も出来ないか、と言いますと出来ない事もありません。

私が行っている方法は、いつも依頼している調査会社に近接地の地盤情報を教えてもらう方法で、これである程度の地盤状態を想定しています。奈良盆地の中(岡や谷でなければ)であれば、だいたいこれで読めます。

ただし、これも確実ではありません。
岡地や谷だった所で、整地される以前高低差のあった場所だと、1M動いただけで地盤が大きく変わる事があります。

この対策としては、昔(1940年頃から後)の航空写真などを調べて、現地が以前どの様な地形にあったのかを調査した上で、切土か盛り土だったのかをある程度想定します。 
ニュータウンなどで、造成前の計画図などあればかなり精度の高い想定は可能です。

地面の下は目に見えない場所なので、事前調査はとっても大切なのです。

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